健常者であれば今まで文字を書くことに不自由したことがある人はまれ。当初は「あいうえお」が精一杯。頭に浮んだ文字を入力できないというジレンマにおちいります。単純な動作を繰り返して覚えるという行為は年齢が高くなるにつれて難しくなります。

タイピング練習ソフトにはリズミカルな音楽がながれたり、もぐら叩き形式のものがあったりします。いろいろなタイプのものがありますが、ダウンロードはお勧めできません。ほとんどのものが無料ですが所在のはっきりしたものがありません。初心者を狙ったフィッシングサイトが多いためと思われます。

指を動かす練習

当初、キーがうまく打ち分けられないのには2つの要因があります。その内のひとつが指がうまく動かないことです。人の手は基本的にものを握るようにできていますので、ひとつの指を動かすと他の指がバランスをとるよう動きます。タイピングのときのような指の動きは、日常あまりおこないませんので、指の動きの練習(慣れる)をする必要があります。

初めのうちは薬指、中指、小指はうまく動きません。反対の手の同じ指が動いてしまう、隣の指が動いてしまう、ある指を動かすと特定の指が動かなくなってしまうなどいろいろなケースがあります。

ベーシックトレーニング

ここで取り上げるベーシックトレーニングは特別な方法ではありません。タイピングの教本では、最初に人差し指で打つ文字「F,R,V」などを連続する練習から入ります。これと同じことをしますが、練習をするときの観点がやや異なります。

練習のポイントはキーを打つときに、「F」のキーを打つ、「R」のキーを打つ、「V」のキーを打つという意識では行いません。あくまで指を動かすという観点の練習ですので、ホームポジションより「ひとつ上にあるキーを打つ、ひとつ下にあるキー打つ」という意識で行います。

ホームポジションを起点として上下のキーを打って戻ってくるという簡単な方法です。タイピングの基礎となるホームポジションへの指の復帰動作の練習です。以下は左手人差し指の例です。

単語入力や文章入力の段階になっても、練習前にウォーミングアップを兼ねて2、3分程度おこなうことをおすすめします。

  1. ホームポジションに指を置きます
  2. 左手人差し指でホームポジションのキーを打ちます
  3. 左手人差し指を少し上に挙げて、ホームポジションより一つ上にあるキーを打ちます
  4. 打ったらホームポジションに戻り、ホームポジションのキーを打ちます
  5. 親指でスペースバーを打ちます
  6. 左手人差し指でホームポジションのキーを打ちます
  7. 左手人差し指を少し曲げて、ホームポジションより一つ下にあるキーを打ちます
  8. 打ったらホームポジションに戻り、ホームポジションのキーを打ちます
  9. 親指でスペースバーを打ちます
  10. 上記を何回か繰り返します

同じことを指を換えて左右すべての指でおこないます。この動作に慣れてきたら、ホームポジションより二つ上のキーを打って戻ってくる練習もします。この場合、当初位置がうまくつかめませんので、ホームポジションからキーを上方向になぞって位置を確認してください。

ベーシックトレーニングの目的は文字配列を覚えることではありません。キーの位置確認と指を動かす練習です。

ベーシックトレーニングの留意点

ベーシックトレーニングでは使う指が直ぐに換わりますので、だんだんホームポジションの位置が曖昧になります。曖昧になったら人差し指の感触でホームポジションを探し、すべての指を一旦ホームポジションに置きます。見てはいけません。

画面には「f」や「r」などの文字が表示されますが、指が正しく動いているかの目安にすぎません。あくまで、ホームポジションよりひとつ上のキー、下のキーという意識でおこなってください。

はじめてでも、20分も練習すれば、ある程度のスピードでおこなえるようになります。2,3日続けて練習すればかなりのスピードでおこなえるようになります。指でキーを打ち分けるという感覚が何となく分かるようになります。

この練習をある程度の期間続けていると、指が上下するときの動きにパターンがあることが分かります。指の動く感覚は直線状ではなく左右ともやや内側に弧を描くような感じになります。また、指の動作感覚は左右対称にはなりません。

このパターンがつかめたら、この練習の目的は達成したことになります。指がタイピングをするときの基本的な動きに慣れたことを意味します。ただし、単語や文章を打つときには、このような秩序だったパターンにはなりません。

このトレーニングは指を動かす練習を集中的におこなうとともに、「どの指でどの文字キーを打つ」かをつかみ取るためのものです。文字配列をおぼえるための練習ではありません。

アクセリーのメモ帳を使い入力練習

練習用のソフト以外で練習するときはWindowsの付属ソフト、アクセリーのメモ帳(簡易ワープロソフト)を使うことをおすすめします。ワードなどのワープロソフトでは文章入力のためのいろいろな機能が自動的に働き、タイプ練習のような画一的な繰り返しパターンの入力がうまくできません。

 

また、日本語入力システムをかな漢字変換モードで使用すると入力した文字をいちいちエンターキーで確定しなければならなくなります。MS-IMEは「直接入力」で行います。

kb09. ベーシックトレーニング