現在、パソコンでは音声入力・応答もできるようになりました。まだ実用レベルでは不完全ではありませんが、個人使用であれば差し支えない程度になりました。操作をするという観点のキーボードの役目は終わるかもしれませんが、文字を入力する文章を作るという観点では役目は終わりそうにありません。定型事務文書については、コピペシステムのものが使われるようですが、著作権の問題があります。

「タッチタイピング」とは

キーボードでの文字入力は、タイプライターのブラインドタッチ(blind touch)という手法でおこないます。コンピュータの場合は「タッチタイピング」といいます。タイプライターのブラインドタッチ(blind touch)という入力手法名称は、パソコンの普及に伴い視覚障害のある方への配慮から「タッチタイピング」と呼ぶようになりました。

打つキーを視覚的に確認して打つのではなく、手元(キーボード)を見ないでキーを打ち分ける手法です。指に打つキーを覚え(慣れ)させることで可能になります。キーボードのキーを最低限の負担で効率的に打ち分ける手法です。パソコン一般使用者の場合は基礎(基本)的な部分を習得するだけで十分効果があります。人により得手不得手がありますので、個人差がありますが正しい知識の基に適切な方法で練習すれば誰もで一定期間できるようになります。

ホームポジション

タッチタイピングでは、基準となる指の置く位置を基点に各キーを打ち分けます。この基準となる指の置く位置を「ホームポジション」といいます。入力をはじめるときは必ずこの位置に指をおいてからはじめます。

左手の人差し指は[F/は]、中指は[D/し]、薬指は[S/と]、小指は[A/ち]となり、右手の人差し指は[J/ま]、中指は「K/の」、薬指は[L/り]、小指は[+/れ]になります。

ホームポジションで左右の人差し指を置く[F/は]と[J/ま]のキーは、キートップに小さな突起が付いていたり、凹みがついていてキートップの形状が他のキーとは異なります。指先の感覚でキーを確認できるようになっています。

キーボードに手を置くと、指が自然にホームポジションにおかれるようになるのがタッチタイプの基本中の基本となります。

キーを打ち分けるとは

「キーを打ち分ける」とは、ホームポジションを起点に各指が受け持つ該当のキーを打つことをいいます。この動作を何回も行い慣れで位置を指に覚えさせます。

最低限度の基準の保ち方

指がホームポジションから該当のキーを打って戻ってくることを復帰動作といいます。この復帰動作により基準(起点)保ちます。ただし、使う指以外の指をすべてをホームポジションに置いておくことはできません。

最低限の保ち方は人差指と小指です。どちらかの指はホームポジションに置いておくように保ちます。全て指が離れてしまい起点を失ったときは、人差し指を置く[F/は]と[J/ま]のキーを指先の感覚で探し、ホームポジションの位置を確認します。

どの指でどのキーを打つか決まっている

打つキーは左右各指に割り振られることになります。下図のようになり、担当以外のキーを他の指で打つことはありません。従って、右手小指を除けば人差し指が8個、他の指は4個になります。アルファベットのみなら人差し指が6個、他の指は3個になります。

キーを打ち分けるポイントは10本の指で100個近くあるキーを打ちわけるのではありません。一つの指で3個から6個のキーを担当することにより結果としてそのような状態になります。

キーボードを「見ない」とは

キーボードを「見ない」とは、キーボードに目線を合わせ、文字キーの位置を視覚で確認してはいけないということです。画面に目線をあわせていてもキーボードは視界に入ります。ただし、目線はあっていませんので外形を把握できる程度です。このような状態であれば問題ありません。

視界にキーボードの外形が入っていればどの辺に置けば、ホームポジションになるかは見当がつきます。後は、指を置くときに、人差し指の感覚でキートップの状態を確認します。人差し指がホームポジションの[F/は]と[J/ま]のキーに置かれれば、他の指は必然的にホームポジションに置かれます。

新しく買った家電製品のリモコンスイッチは、当初視覚的にスイッチの位置を確認しないと押せませんが、少し時間が経つとリモコンを握ると自然にスイッチところに指がいくようになるのと同じです。

「キーボードを見ないように」とは、キーボードが「見えないようにすること」ではありません。当初、視界に入るとどうしてもキートップの名称をみてキーの位置を視覚的に確認してしまうので、このことが強調されています。

文字の配列について

英字の配列はタイプライターで使われた配列が元になりますが、タイプライターの構造上の特性から、必ずしも使用頻度や指の動きにあわせた配列にはなっていません。また、かな配列もなぜこのようなJIS配列になったかは不明確な部分があります。このため、文字の配置を理屈で捉えることはきません。

タッチタイピングのポイントは、「どの指で何の文字を打つか(どの文字をどの指で打つか)」です。「どの文字キーがキーボードのどの位置にあるか」ではありません。ホームポジションを基点として、どの指でどの文字キーを打つかを習得すれば、結果として左右の指全体で配列を覚えたことになります。

ローマ字入力のタッチタイピングでは、人差し指の打つキーは6つ、他の指は3つだけです。いずれもホームポジションの上下または隣接するキーだけです。右手の小指は記号領域のキーを受け持ちますので8つから12になりますが、これらのキーは使用頻度の低いものや、他の方法でも入力できるキーです。

文章を打つという観点から盤面の文字キーの配置をみると、文字が秩序なくバラバラにあり、どうやって打つのだろうととまどいます。文章観点からみると、文字キーは秩序なくバラバラにありますが、打ち方は非常に秩序だったものになります。

キーボードのどの位置に何の文字キーがあるか覚えようとすると、どうしても盤面を視覚的に確認してしまいます。こうした観点で練習しますと「キーを打ち分ける」という意味が分からず、盤面を見る一本指打法になってしまいます。タッチタイピングでは「ホームポジション」を起点として、どの指が何の文字キーを打つかが基本になります。

猫の手フォーム

キーボードに置くときの手の形は指の力を適度に抜き、ちょうどボール(野球、テニスぐらいの)軽く握ったような形で指先をキーにのせます。爪の面は上を向くのでなく、やや正面を向くような感じになります。

打つときは指の腹でなく、指の腹と指先の中間ぐらいになります。従って、爪が伸びていると突っかかります。俗称ですが、このような手の方を「猫の手フォーム」とか「猿の手フォーム」といいます。楽器を習った方は聞き覚えある言葉だと思います。

手首は浮かせますが、慣れないと肩がこりますのでキーボード枕なるアクセサリーがありますで利用してください。キーは軽く叩くように打ちます。プッシュではなくパンチです。

初心者の方にとって、すでに頭の中にあるキーを打つというイメージとはかなり違うと思います。初心者の方の頭の中にあるキーを打ときのイメージとは「手の平を軽く広げ、指を延ばして、爪を上に向け指の腹で打つ」という形です。映画、テレビ、カタログなどでよく見かけます。見栄えがしますがこのような形で打っていますと指の関節を痛めますので注意してください。

親指は以外と敏速に動きますが行動パターンが決まっています。人差指はオールランドプレーヤーでよく動きます。中指、薬指は他の指につられて動き自立性に欠けます。小指は多少訓練が必要ですが以外と小回りがききます。

kb07. タッチタイピング