「ファイル」は用途、内容、形式などの観点で分類する名称があります。同じファイルでも観点が異なると呼び方が変わります。分類名称はすべて「〜ファイル」となり、表記上はすべてが同列同観点に見えますので注意してください。
一般的には、「ファイル」を「プログラムファイル」と「データファイル」に大別しますが、記録形式観点から「テキストファイル」と「バイナリーファイル」に大別することもあります。その他、用途観点から「実行ファイル/参照ファイル/読み込み専用ファイル」などと区別することもあります。
テキストファイル text file
人が読むことができる文字コードデータ(テキストデータ)形式のファイルをいいます。正確には文字コード、および改行やタブなどの制御コードからなるファイルです。通常、テキストファイルには「.TXT」の拡張子が付きます。ただし、ドキュメントファイルのように「.DOC」の拡張子がつくものもあります。テキストファイルの拡張子に用途や目的により異なるものを付けることがあります。
表計算ソフトのデータ利用のときに使われるCSV形式も、文字データをカンマ(,)で区切ったテキストファイルです。同様のものには、文字データをタブや改行で区切ったなど幾つかの形式があります。
アプリケーションソフトに付属しているマクロ言語のマクロファイルもテキストファイルです。Webページを表示するHTML言語やXML言語で記述された「HTMLファイル」や「XMLファイル」のソースもテキストファイルです。
また、OSやアプリケーションソフトのシステムプログラムに付随する情報ファイルにもテキストファイル形式のものがあります。「テキストファイル=データファイル」ではありません。それぞれ異なる観点の呼び名です。
バイナリーファイル binary file
バイナリー(binary)とは2進数形式という意味です。通常、テキストファイル以外のファイルをさします。アプリケーションソフトやOSなどのプログラムファイルはバイナリーファイルです。バイナリー形式のファイルは通常の方法では中を見ることができません。意味不明の文字の羅列になるか、表示させることはできません。
アプリケーションソフトで作成したデータファイルは、そのアプリケーションソフト固有の形式のバイナリーファイルです。他のソフトで読み込みには変換機能が必要になります。読み込み時の変換機能がない場合は、汎用的な形式にいったん変換してから読み込みます。
「プログラムファイル=バイナリーファイル」ではありません。一般の方にとっては同じような意味合いになりますが、それぞれ異なる観点の呼び名です。
プログラムファイル program
通常、コンピューターに対する処理動作命令がバイナリー形式で記録されているファイルをいいます。ただし、プログラムファイルに属するソースコードといわれるものにはテキストファイル形式のものもあります。プログラムファイルの拡張子には「SYS、COM、EXE、DLL」などがあります。拡張子をとってSYSファイル、COMファイル、EXEファイルなどともいいます。
プログラムファイルのファイル名や拡張子はソフトウエアを開発するときに、その仕様により決められます。また、専門的に使う名称が定義されているものや慣習で使う名称もあります。使用者が勝手に変えたり、保存場所移動することはできません。正常に動作しなくなります。通常、一般の方が直接取り扱うことのないファイルです。非常の場合以外は操作対象にならないファイルです。
プログラムファイルに付属する情報ファイルには、形式がテキストファイルで、使用者が書き換えたり、追加作成したりできるものもあります。
システムファイル system file
コンピュータシステムを動作される中心的な役割をしているプログラムファイルの総称として使われます。プログラムファイルおよびその関連ファイルがあります。狭義ではOSを指す場合があります。「ネットワークのシステムファイル」という場合は、ネットワークを構成・運用・管理しているファイルという意味になります。
データファイル
処理データが記録されているファイルをいいます。データファイルは用途観点の呼び方ですので、テキスト形式のものもあれば、バイナリー形式のものもあります。
アプリケーションソフトのデータファイル
一般の方が日常取り扱うのはアプリケーションソフトのデータファイルになります。アプリケーションソフトで作成したデータファイルは、そのアプリケーションソフトで利用することを前提にしたバイナリー形式のファイルです。原則として、他のアプリケーションソフトでは利用できません。
ただし、現在のアプリケーションソフトは、同じ種類の他のアプリケーションソフト(競合する製品)のデータファイルを変換して読み取れるようになっています。また、自分のデータファイルをテキストファイル形式などに変換して保存する機能がついています。読み込みができない異なるアプリケーションソフトのデータは、これらの機能を利用して、双方の仲立ちとなる共通ファイル形式に変換しておこないます。
ワープロではテキストファイル形式やRTF形式、集計ソフトやデータベースではCSV形式をよく使います。最近のワープロソフトや表計算ソフトでは、作成したデータをHTMLのソースに変換して保存する機能もついてます。
文字データと画像データ
文字データとは文字コードのデータを意味します。テキストファイルをいいかえると文字コードと一部の制御コードが記録されているファイルです。文字コード部分は対応する文字(ひながな、カタカナ、漢字、英数記号など)を表示します。改行コードのあるとろは、1行改行します。
画像ファイルは点の集合情報(ビットマップデータ)や、直線・曲線などの位置や方向情報(ベクタデータ)のファイルです。ビットマップデータを取り扱う画像処理ソフトでは、文字入力機能で文字を入力しているときは文字コードを使った文字ですが、その機能を終了し、保存してた段階でできたものは「文字の形をした画像」です。また、ベクタデータを取り扱う画像処理ソフトでは文字を入力するためのテキスト領域を設定でき、そのままテキスト領域として保存することができます。
ファイルの属性 sfle attribute
ファイルの種類、容量、作成・更新日時などの情報を「ファイルの属性(アトリビュート)」といいます。ファイルにはこれらの基本的付加情報が書き込まれています。他に隠しファイル、圧縮ファイル、書き込み不可(読み出し専用)などの情報もあります。
Windowsではファイル一覧を「詳細表示」にするとこれらの内容が表示されます。また、フォルダとファイルのプロパティーウインドウで内容を確認したり設定を変更できます。
隠しファイル属性
表示されないように設定されているファイルです。Windowsのシステムファイルには多くの隠しファイルがあります。Windowsにはフォルダとファイルを隠す機能があります。フォルダとファイルのプロパティーウインドウで設定することができます。Windowsのフォルダーオプション機能には、隠しファイルの表示設定項目があります。「表示する」にすると隠しファイルになっていても薄いグレーで表示されます。
読み取り専用(書き込み不可)属性
フォルダとファイルのプロパティーウインドウで設定することができます。フォルダに設定すると、その中にあったファイルがすべて読み取り専用ファイルになります。ファイルに設定するとそのファイルのみが読み取り専用になります。
アーカイブ属性
ファイルの新規作成や更新時に自動的にチェックされるファイル属性のことです。ファイルは新たに作成されたり更新されると、システムが自動的にそのファイルの「アーカイブ属性」をオン(チェックされた状態)にします。アーカイブ属性がオン(チェックされた状態)されているファイルはバックアップの対象となります。バックアップが完了するとチェックは自動的に外されます。バックアップ対象ファイルを意図的に変更したいときに使います。通常、一般ユーザーが設定することのない属性です。
ファイルの「アーカイブ属性」は「ファイル圧縮・解凍」に出てくる「アーカイブ」とは異なるものです。
システム属性
システムファイルとしての設定です。主にプログラムファイルに設定します。一般ユーザーが設定することのない属性です。