sf10.グラフィックソフト

  • グラフィックスソフトとは
  • 主なグラフィックスソフト
  • ラスタグラフィックスとベクタグラフィックス
  • グラフィックスのカラー指定
  • 画像の標準的規格とファイル形式

グラフィックスソフトを取り扱うときに避けて通れないが「画像ファイル形式」です。グラフィックスソフトでは、そのソフトウエアで取り扱えるファイル形式が決まっています。通常は、そのソフトウエア固有のファイル形式と汎用形式の二つが取り扱えます。汎用形式のファイルは「gif,jpeg,png,tiff」などです。また、グラフィックスソフトをうまく取り扱うにはデザインの画像処理用語の知識が必要になります。

「グラフィックスソフト」とは

デジタル化された画像データはパソコンで、形や色などを編集・加工することができます。これらの処理をするために使うソフトウエアを「グラフィックソフト(Graphics software)」または「画像処理ソフト」といいます。広義では、映像(動画、ビデオ)を含めて使われることもありますが、通常は「静止画像と図形」を取り扱うものをいいます。映像(動画、ビデオ、ムービー)を取り扱うものを「ビデオ編集ソフト」または「動画編集ソフト」といいます。

ラスタグラフィックスとベクタグラフィックス

パソコンのグラフィックソフト には、ベクタグラフィックスを取り扱うドロー系ソフトとラスタグラフィックスを取り扱うペイント系ソフトがあります。ペイント系はビットマップ系ともいいます。

ラスタグラフィックス  raster graphicsa

グラフィックスをドット(点)の集まりとして取り扱う手法です。この形式のデータをラスタデータまたはビットマップデータといいます。データ形式が単純なため扱いが簡単で、自由に色の変化をつけることができますが、拡大・縮小・変形には制約がありまりす。また、容量が大きいという特徴もあります。ラスタデータを取り扱うソフトを「ペイント系ソフト」ということもあります。

ベクタグラフィックス  vector graphics

グラフィックスを直線や曲線を表す数値データとして扱う手法です。「ドロー」とも呼びます。データは線の座標、角度、方向などの数値情報の集まりですので、描いたグラフィックスを自由に反転、拡大、縮小などの処理ができ、データ容量も小さくてすみます。

主なグラフィックスソフト

ペイント系ソフト  painting software

点(ドット)の集まりで画像を描く手法のソフトです。ドット単位に編集ができますので色などは自由に描画できますが、画像の拡大や変形を行うと、境界線部分にギザギザが目立つようになり画質が落ちます。ペイント系ソフトの表示画像を拡大していくと、点で構成されいるのがわかります。主にイラストを描いたり、画像に着色することを目的としたものを呼びます。Windows付属のアクセサリ−ソフト「ペイント」はその名の通りペイント系のソフトです。

フォトレタッチソフト  photo retouching software

フォトレタッチとは写真画像の傷やごみ、不自然な色合いを修整したり、露光の過不足を補正したりして、再現性を高めることをいいます。写真画像の修正・加工ソフトですが、写真画像だけでなく、スキャナーから読み取ったものなど、利用可能な画像データ形式のものであれば処理の対象にできます。また、フォトレタッチソフトのなかには多機能なため、アイコンなどの静止画像を作ったり、編集することができるものもあります。

デジタルカメラの写真などを整理する画像管理ソフト(アルバムソフト)の多くは、簡単なフォトレタッチ機能をもっています。Adobe(アドビ)社の「Photoshop」が最も有名なフォトレタッチソフトです。

ドロー系ソフト  drawing software

直線や曲線など線を使って描画する手法のソフトです。四角形、円、だ円、三角形などが簡単に描け、これらを組み合わせてグラフィックスを描きます。このため「図形処理ソフト」と呼ばれることもあります。

反転、拡大、縮小などの処理が自由にでき、正確な図が描けるので、製図や説明図などの描画目的に使われます。ビットマップ系ソフトのデータを取り込むことができ、文字も文章として編集可能な形式で取り扱えますので、印刷物を作る目的でも利用されます。Adobe社の「Illustrator」最も有名なドロー系ソフトです。

DTPソフト ディーティーピー  desktop publishing

コンピュータを使って出版物を作成することをいいます。このために必要な文字の入力、図版の作成、文章の編集、レイアウト、版下作成などの機能をもったソフトのことをいいます。

DTPソフトの機能を使っている「自作本作成ソフト」なるものもあります。入力したデータをひな型(元型)に指定すると、そのデザインレイアウトの印刷ができます。ソフトハウスに送ると、製本をして送り返されていきます(有料)。Webサイトにもこのようなサービスをおこなうサイトがあります。

画像に関する標準的な規格とファイル形式

GIF ジフ  Graphic Interchange Format

米国のパソコン通信サービス「CompuServe」がビットマップ画像データを圧縮、展開する方法として発表した規格です。インターネットでは標準的な画像ファイル形式として使われています。扱える色数が256色と少ないためイラストなどの静止画像に使います。

GIFには、読み込みの際にモザイク状の表示から通常の画像表示に変化するインタレースGIF、表示順序を指定することで簡単な動きをだせるアニメーションGIF、背景色を透明にできる透過GIFなどがあります。また、GIFにはいくつかの規格がありますが、現在はGIF89aという規格を使います。

GIFファイルは圧縮された形式のファイルです。データの圧縮にはLZWという方式を使います。LZW方式は米ユニシス社が特許権をもっていました。当初、ソフトハウスが開発するソフトでの利用は無償でしたが、インターネットでの利用が一般化すると特許利用料の徴収を始めました。このため、Webの標準化団体W3CではPNG形式を開発したという経緯があります。

一時期、グラフィックソフトにより特許権の関係でGIF形式が利用できない問題がありましたが、現在は特許権の有効期間が終わりましたのでこの問題は解決しました。

JPEG ジェイペグ   Joint Photographic Coding Experts Group

ISOとITUがカラー静止画像の圧縮方式を標準化するために設立した組織およぴこの団体が策定した規格をさします。圧縮レベルを指定でき、他の画像ファイル形式よりファイル容量が小さくできます。JPEGの圧縮は非可逆符号化方式といい、高い圧縮率が得られますが元の画像への完全な復元はできません。

1677万色のフルカラーが使え、多くのグラフィックスソフトがこの形式をサポートしています。通常、デジタルカメラでの写真データはこの形式です。モザイク状の表示から通常の画像表示に変化するプログレッシブJPEG、動画にも利用されるJPEGMoveとMotionJPEGなどもあります。

TIFF ティフ  Tagged Image File Format

ビットマップ画像を保存するためのファイル形式で、異機種間でのグラフィックデータの交換に使われます。大容量のグラフィックスイメージを取り扱うのに適し、多くのグラフィックスソフトがサポートしています。LZW圧縮などのさまざまな圧縮方法やモノクロ、カラーなど各種の色処理にも対応できます。

TIFFファイルには派生形式があり、TIFFファイルをサポートしているグラフィックスソフトでも、すべてのTIFFファイルを扱えるとは限りません。

PNG ピーエヌジー ピング  portable network graphics

GIFの特許権の問題を解消するめたに、Webの標準化団体W3Cが開発したビットマップ画像のファイル形式です。圧縮はZIP形式でおこないます。読み込みの際にモザイク状の表示をするインタレースモードをもっています。

BMP ビーエムピー  bitmap

Windowsで標準として使われるビットマップ形式の画像ファイルです。ファイルの拡張子は「.bmp」になります。Windowsでビットマップデータを記録するときの標準フォーマットになります。

PICT ピクト

Mac OSで標準として使われる画像ファイル形式です。Mac OS用のグラフィックスソフトのほとんどがサポートしています。ペイント系とドロー系の両方のデータ形式を扱えます。

VRML ブイアールエムエル   Vertual Reality Modeling Language

3次元グラフィックスの表示を記述するめたの言語です。HTMLファイルと同様に、他のVRMLファイルにリンクすることで、仮想的な空間を作り出すことができます。現在は、後継規格となるX3DをWeb3Dコンソーシアムが策定作業をおこなっています。

グラフィックスのカラー指定

画像処理ソフトを使うときに避けて通れない問題がカラー処理の指定です。通常、グラフィックソフトには「カラーパレット」という機能があり、色の一覧表が表示され、使いたい色をマウスで選択できるようになっています。中にはスライダーがついていて、微妙に色を変化させることもできます。カラーパレットは時間が経ってから同じ色を再現するときに困ることがありますが、この場合は「スポイト」機能を利用します。一般の方でも自由に色を使うことができます。

「カラーパレット」は、色を比較しながら指定するアナログ的な方法ですが、色をコードで指定することもできます。色コードでの指定には10進を使う方法と16進を使う方法があります。10進指定では三原色(RGB)をそれぞれ256段階の10進数で指定します。(256,256,256)は「白」、(0,0,0)は「黒」になります。16進指定では三原色(RGB)を16進数の色コードで指定します。(ffffff)は「白」、(000000)は「黒」になります。

一般ユーザー、特に初心者や初級者が使う簡易グラフィックソフトの「カラーパレット」では10進コードや16進コードでの色指定はできない場合もあります。

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