実質、一般ユーザーにとって「パソコンを使う」とは、基本ソフト(OS)のWindows上で動作するアプリケーションソフトの使い方になります。一般ユーザーにとっては基本ソフト(OS)がインストールされただけのパソコンは何の役にも立ちません。
現在は、基本ソフト(OS)のWindowsにいろいろなソフトが付属していますので、文章を作成する、ホームページを見る、メールを出すなどパソコンの基本的な利用はできるようになっています。とりあえずパソコンでWindowsが動作すれば、基本ソフト(OS)の操作知識はなくても限定的な利用であればパソコンを使うことができます。
ただし、本来の使い方をするにはOSも含めソフトウエアやハードウエア、ネットワークなどの基本知識が必要になります。
基本ソフト(OS)とは
「OS」は「Operating System(オペレーティングシステム)」の略で「オーエス」と読みます。日本語では「基本ソフト」といいます。コンピューターシステムを総合的に管理・制御して、使用者に基本的な操作環境を提供するソフトウエアのことをいいます。
現在のパソコン用基本ソフト(OS)の多くは「マルチタスクOS」といい、複数のアプリケーションソフトを同時に動作させることができます。基本となる操作画面にはグラフィカルユーザーインタフェースを採用しています。また、ネットワーク機能をもっていて複雑な設定をしなくてもネットワークを利用することができます。
基本ソフト(OS)の基本機能
基本ソフト(OS)の基本的な機能には以下のものがあります。基本ソフト(OS)の機能は使用するコンピュータシステムの利用目的により多少異なります。同じWindowsという名称でも 、一般家庭用、ビジネス用、サーバー用で機能は異なります。
プロセス(process)管理
OSが実行中のプログラムおよびその実行単位をプロセスといいます。プロセスが正常におこなわれるように管理する機能です。
メモリ管理
コンピュータの処理はすべてメモリを介しておこなわれます。おのおの処理がメモリをどのように使うか制御・管理する必要があります。
ディスク管理(ファイルシステム)
OSがファイルをどのように管理するかをいいます。ファイルを記憶媒体に書き込み、読み込むときの基本となる単位、アクセス方式、配置、ファイル名の長さなどを決めます。この仕組みをファイルシステム(file system)といい、OSにより異なります。現在のWindowsではNTFSという方式を使い、Mac OSではHFSやHFS Plusという方式を使います。
周辺機器管理
通常、周辺機器の基本的な入出力管理はBIOSとOSでおこないますが、Windowsではデバイスドライバという周辺機器制御用のプログラムを使っておこないます。
ネットワーク機能
かって、ネットワークを使うときは、ネットワークを構築するためのソフトウエアを使用者が組み込こみ、プロトコル(通信規格)などの設定をする必要がありました。現在はOSにこの機能があるため使用者か組み込こみをする必要はありません。
ユーザー・インタフェースの提供 user interface
パソコンと使用者の接点を意味します。狭義では、画面、マウス、キーボードなどの操作性をいいます。広義では使用者がパソコンを使うときのハードウエアやソフトウエアの仕組み、規格、使い方などを総称して呼びます。一般ユーザーにとっては、使用パソコンのOSがどのようなユーザー・インタフェースを提供しているかで、その操作性が決まります。
グラフィカル・ユーザー・インタフェース graphical user interface
「GUI」と略し、「ジー・ユー・アイ」または「グイ」と読みます。画面をグラフィカルなデザインにして、マウスでアイコンをクリックするという直観的操作ができるものをいいます。米アップルコンピュータが1984年に発売した初代Macintoshで採用した形式で、現在ではほとんどのOSがこの形式を採用しています。
「アイコン(icon)」は、処理機能、ファイル、実行するプログラムなどを象徴的に表現した図柄のことをいいます。ボタン形式や絵文字などいろいろなデザインがあります。マウスでアイコンを選択し、クリックすると処理を実行できます
WYSIWYG ウィジウィグ What You phsee Is What You Get
「画面表示と同じ状態で、プリンターに印刷できる」という意味です。グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)の基本となる考え方の一つです。米アップルコンピュータ社がMacintosh機で広めた考え方で、Windowsにも採用されています。あくまで考え方(論理)ですので、現実にはまったく同じにはなりません。
基本ソフト(OS)の種類
現在、一般ユーザーがパソコンで使う基本ソフト(OS)はMS−WindowsまたはMac OSになります。「OS」は「Windows」の別名ではありません。「Windows」はパソコン用基本ソフト(OS)の中のひとつです。基本ソフト(OS)は「Windows」以外にもあります。
MS−DOS Microsoft Disk Operating System
Windows登場以前に広く普及していた米マイクロソフト社のパソコン用OSです。現在は使われませんが、Windowsのアクセサリーの中に「コマンドプロンプト」機能があります。別名「DOS窓」呼ばれ、MS−DOS形式のコマンドライン指示入力ができるようになっています。
DOS/V ドスブイ disk operating system/V
日本IBM社が発売していたPC/AT互換機用のOSです。DOS/Vも現在は使われていませんが、PC/AT互換機のことを、使用するOS名称を取って、DOS/VパソコンまたはDOS/V機と呼びます。「DOS/V」の「V」はPC/AT互換機が採用している「VGA」という表示方式を意味します。
パソコンの呼び方には、使用している基本ソフト(OS)の名称を付けて呼ぶことがあります。Windows機は基本ソフト(OS)にMS−Windowsを使っているPC/AT互換機パソコンのことをいいます。
Windows機では、Aドライブはフロッピー・ディスクに固定され、Bドライブはありません。これはWindowsの特徴ではなく、通常Windowsで利用するPC/AT互換機の特徴です。かって、Bドライブは2台目フロッピー・ディスクに使われていました。
MS−Windows
Windowsについては『Windowsの基本知識事典』をご覧ください。
Mac OS マックオーエス
米アップルコンピュータがMacintosh機に搭載しているOSです。かっては、Macintosh機搭載のOSを日本では「漢字Talk」といいましたが、現在はMac OSといいます。現在のMac OSは「Mac OS X(テン)」です。「Mac OS X」は従来のとは内容が大幅に変わり、古いMac機では利用するとはできません。
また、「Mac OS X Leopard」の対応機種からMac機のCPUはインテル社製になり、互換ソフトを使うことによりWindowsも動作するようになりました。
PC UNIX ピーシーユニックス
パソコン上で動作するUNIXやその互換OSの総称です。フリーウエアーとして配布されているものもあります。代表的なものにLinux(リナックス)やFreeBSD(フリービーエスディー)があります。
UNIX ユニックス
当初、AT&Tベル研究所がミニコンピュータ用に開発したOSです。大学や研究機関での利用や開発が進み、現在はネットワークサーバーなどで広く使われるマルチタスク、マルチユーザーのOSです。インターネットに接続されている多くのサーバーはUNIXを使っています。このため、インターネットの仕組みや操作方法にはUNIX方式のものが数多くあります。
インターネットをよく使う一般ユーザーは、インターネット上(ネットワーク上)での操作基準がWindowsの操作基準とは異なることに気づきくと思います。これは上記に起因します。
Linux リナックス
フリーウエアとして配布されているためパソコンの趣味趣向者に広く利用されています。フィンランドのリーナス・トーバルズ氏が開発を始めたものですが、オープンソースの形式をとっているため、世界中の開発者がボランティアになり開発を進めています。「リナックス」は日本の呼び方で、「リヌクス、リニュックス、リヌックス」などとも呼ばれます。
「オープンソース(open source)」とは、ソフトウエアのソースコード(プログラム)を公開し、誰でも自由に改良できることをいいます。人が理解できるプログラム言語で書かれた状態のプログラムのことをソースコードといい、ソースコードがあればプログラムの変更が可能となるため、通常は著作権など営業上観点からソースコードは公開されません。
最近は、地方自治体などで、Linux(リナックス)を試験的に導入するところが出てきました。また、大手のパソコンメーカーでもLinux(リナックス)のサポートをするところが出てきました。まだ、一般ユーザーの方が利用できる環境にはありませんが、基本ソフト(OS)とOffice(ワープロ、表計算、データベースなど)関連ソフトをすべてフリーウエアーで揃えることができます。
FreeBSD フリービーエスディー
パソコン向けのUNIX系OSです。米カリフォルニア大学バークレイ校で開発したものをベースにしたもので、オープンソースコードのフリーウエアとして利用できます。
BTRON ビートロン Business TRON
トロン(TRON)構想の中で、パソコンなどのOA機器で使うことを目的に開発された基本ソフト(OS)です。日本で開発されたものなので、漢字の旧字体や異字体など日本語処理には優れています。PC/AT互換機で動作するBTRONのことを「1B(ワンビー)/V」といいます。
パーソナルメディア社が発売するOS「超漢字」の基になるOSです。「超漢字」には、かな漢字変換ソフト、ワープロ、表計算、メールソフト、ブラウザーなどが付属しています。
かって文部省が学校で使う教育用パソコンの基本ソフト(OS)候補としてBTRONを取り上げたこともありますが、米国から非関税障壁になると強硬なクレームつき、候補から取り下げられました。これを契機に日本のメーカーが使うこと断念したという経緯があります。
基本ソフト(OS)との関係
パソコン本体との関係
基本ソフト(OS)はパソコン全体を管理制御するものなので、本体の設計と密接な関係があります。基本ソフト(OS)は使用パソコンのハードウエア設計仕様に対応している必要があります。パソコンにより基本ソフト(OS)が異なるのはこのめたですが、その機器に対応する基本ソフト(OS)であれば使うことができますので一種類とは限りません。
マルチブート multiboot
一台のパソコンに複数の基本ソフト(OS)をインストールして、起動時にどの基本ソフト(OS)を使うか選択して使えるようにすることをいいます。
アプリケーションソフトとの関係
原則として、基本ソフト(OS)が異なると動作しません。使っている基本ソフト(OS)に対応するアプリケーションソフトを使う必要があります。デバイスドライバなどを含めすべてのソフトウエア(プログラム)についていえます。市販アプリケーションソフトでは、パッケージ、カタログ、マニアルに対応する基本ソフト(OS)が載っていますので確認するようにしてください。
例外として複数の基本ソフト(OS)で動作するものもありますが一般ユーザーが使うソフトウエアではありません。
データの互換性
テキスト形式や汎用画像形式、汎用映像形式のものであれば基本ソフト(OS)に関係なく使うことができます。ただし、テキスト形式ではWindowsとマックでは改行コードが異なるなど注意する点もあります。また、文字が正しく表示されなかったり、欠落したりすることがありますが、これは基本ソフト(OS)の違いによるものではなく、使っている文字コード体系の違いによります。また、OSが異なりますとファイルシステムが異なりますので、この違でファイル名の一部が欠落したりすることもあります。
アプリケーションソフトではWindows用とマック用が別々でも、作られたデータレベルでは高い互換性を保ち、そのまま使えるものもあります。使用アプリケーションソフトのマニュアルで「データの互換性」をご確認ください。
ファイルシステム(file system)
基本ソフト(OS)がファイルを管理する方式を「ファイルシステム(file system)」といいます。この方式が異なると有効なファイル名の長さが異なるためファイル名の一部が欠落したり、正常に表示されないことがあります。Windows XPはNTFS方式またはFAT32方式を使います。MacOSではHFSやHFS Plusを使います。
マルチタスクとシングルタスク singletask and multitask
マルチタスクとは、複数のタスク(内部処理)を同時に並行して実行できることをいいます。複数のアプリケーションを同時に使うことができます。1度に1つのタスクしか実行できないことをシングルタスクといいます。かって使われた、MS−DOSというOSはシングルタスクのOSです。
マルチタスクには、「疑似マルチタスク」と「プリエンプティブ・マルチタスク」という方式があり、Windowsは当初疑似マルチタスク方式でしたが、Windows 95以降はプリエンプティブ・マルチタスク方式になりました。
タスク task
「タスク」とは、コンピューター内部処理の最小単位をいいます。「task」は「仕事、作業」という意味の英語です。コンピューター内部処理をCPUにとっての「仕事」というイメージでとらえた専門用語です。