パソコンユーザーなら誰でもが利用するインターネット上のサービスに「電子メール(eメール)」があります。「電子メール(eメール)」を利用する場合には避けて通れない「迷惑メール」という問題があります。
インターネット上を行き交うメールデータの約8割前後は「迷惑メール」といわれます。通信業者だけでなく、行政レベルでの対策もおこなわれていますが、効果が上がっていないのが実情です。
迷惑メール
「迷惑メール」に明確な定義はありません。一般的には、受信側の承諾を得ずに送りつけられる広告や勧誘の電子メールのことをさします。「違法メール、悪質メール」と呼びれるものも「迷惑メール」になります。広い意味ではユーザーに取って迷惑なメールはすべて「迷惑メール」になります。
著作権違反の販売メール、マルチ商法(ねずみ講)のメール、断っても送り続けられる広告メール、嫌がらせのメール、アダルトやドラッグなどの非合法営業メール、また、送信者に悪意はなくても相手にとっては迷惑なメールなどがあります。最も悪質なのがウイルス散布を目的としたメールです。
チェーンメール chain mail
内容は単純ですが、閲覧した人の心理を利用して、他に転送されるように仕組まれた電子メールです。「デマウイルス」と呼ばれるメールもチェーンメールです。最近は、テレビ番組名や有名芸能人をかたるチェーンメールが増えています。もっとも悪質なものは、善意の和を広げるようなふりをして転送させるものです。チェーンメールはネットワークに負荷をかけたり、ウイルスを散布する手段に使われます。
SPAMメール スパム SPAM mail
SPAMとはアメリカで販売された缶詰の商品名で、やたら商品名を連呼するCMが話題になりました。受信者の承諾を得ずに、大量に配信される広告や勧誘の電子メールを、この名称をとりSPAMメールといいます。アドレスが推測できれば不特定多数の人にメールが送れる電子メールの機能を悪用したものです。コンピュータが自動的に大量のメールを送信しますので、ネットワークに障害が起きます。
ジャンクメール junk mail
「ジャンク」とは「がらくた、くずと」いう意味です。広告や勧誘など受信者にとっては意味のない内容が書かれている電子メールのことをいいいます。
迷惑メールの問題
「迷惑メール」は大きな問題になっています。インターネットを行き交う電子メールデータ内約8割はSPAMメールやアダルトサイトの勧誘メールなどの迷惑メールであるといわれます。こののま放置しますと電子メールシステムそのものが形骸化しかねない状態になっています。
各プロバイダーは25番ポート対策や迷惑メールフィルタの強化など迷惑メール対策をおこなっています。また、行政も発信元に対する刑罰を大幅に引き上げるなど本格的な対策に乗り出しています。
しかし、発信元を隠すために、第三者のメールアドレスを盗用したり、セキュリティ対策があまい第三者のサーバーやパソコンを経由させたりするなどで発信元を隠ぺいする手法がとれらます。最近は個人のパソコンを対象としてた「ボットネット」という手法が問題になっています。
「迷惑メール」の一番の問題点は専門の配信業者が存在することです。メールアドレスを集めて売る業者、本文を作る業者、発信する業者、窓口となる業者。これらの業者は行政の監視が厳しい先進国から開発途上国へと移転・委託しながら営業をしています。
一般ユーザーの対策
不審なメールは「見ない」「転送しない」「削除」が大原則ですが、不審なメールは見たくなるのが人情のようです。一般ユーザーがメールを利用するのであれば以下の3点は必ずおこなってください。
- 迷惑メールチェックのできるセキュリティ対策ソフトを導入する
- プロバイダの迷惑メールチェックサービスを受ける
- ご使用メールソフトの設定を迷惑メール対策の「ポート25番ブロック」にする
上記3点のいずれかを実施していれば安全ということではありません。各対策共に100パーセントではありません。また、各対策は異なる観点の対策ですので併用することをおすすめします。
「ポート25番ブロック」
迷惑メール対策の一つで、「OP25B」と略されることもあります。25番ポートとはメール送信用のポート番号のことを指します。ポート番号とは接続システムの識別番号です。通常、しかるべきプロバイダーであれば「ポート25番ブロック」を実施しています。
プロバイダーのメールサーバー以外から発信されたメールを別のプロバイダーに送信しないようブロックします。これにより他社のメールサーバーに向けてプロバイダ以外のコンピュータシステムンから直接送信できなくなります。
通常、接続契約プロバイダーのメールサーバーを使って送信する場合は影響ありませんが、接続契約プロバイダとは異なるプロバイダのメールサーバーを使う場合は対策が必要になります。この場合は25番ポートは使えませんので、代替ポートとして587番をよく使います。
上記の場合はメールソフトの送信設定を変更する必要があります。各プロバイダのメールソフト設定説明書または、サポートWebサイトの該当ページをご覧ください。
セキュリティ対策ソフトの迷惑メールチェック
機能の名称は「迷惑メールフィルター」「迷惑メールスキャン」など各セキュリティ対策ソフトにより異なりますので内容を確認してください。通常、「ウィルスの有無」「メールの本文内容」「送信アドレス」などでフィルターをかけたり、スキャンできるようになっています。
プロバイダの迷惑メールチェックサービス
プロバイダの迷惑メールチェックサービスは各プロバイダにより異なる部分がありますのでサービス内容をご確認ください。主にフィルター機能でメールの振り分けをおこないますが、フィルター機能の内容が各プロバイダにより異なる部分があります。また、振り分けた迷惑メールをどのように処置するかでも各プロバイダにより異なる部分があります。
迷惑メールチェックの問題点
現在の迷惑メールチェックはフィルター機能で振り分ける方式が中心です。フィルターの機能はメールチェックシステムにより方式が異なる部分もあります。ほとんどのメールチェックシステムではパターンマッチという方式が使われます。指定条件に一致したもの又は含むものを迷惑メールと判断します。
指定条件には、メールチェックシステムが予め用意している「ウィルス有無の判断」「メールの本文内容(用語、フレーズ)の判断」などと、使用者が指定した「送信元IPアドレス」や「送信アドレス」などを基に学習機能が使われ振り分けをおこないます。
残念ですが、この方式では定義ファイルが更新されるまでは新しいウィルスの判断ができません。本文を用語やフレーズで判断するのは限界があります。文意の内容をコンピュータで判断することはできません。該当用語やフレーズがあるから必ず迷惑メールとは判断できません。
また、ウイルスが添付されいるから、迷惑メールとは限りません。感染している場合もあります。現在は複数の条件を併用しているためかなりの精度で振り分けられますが100パーセントではありません。このため無条件に抽出されたものを迷惑メールとして削除できないという問題があります。