ネチケットはマナーやルールですので使用者の価値観により変わります。中には法律上の問題に発展する可能が極めて高い事項もあります。また、ネチケットの内容と商用サイトの利用方法は常に矛盾することになります。
「ネチケット(netiquette) 」とは
「ネット」と「エチケット」を合成した造語で、ネットワークを利用するときのエチケットという意味です。一般の方にとっては、インタネットでWebページ(ホームページ)や電子メールなどを利用するときのエチケットということになります。
当初、「ネチケット」はネットワークを利用する技術者や趣味指向者など一定の知識と同じような価値観をもっている人たちの常識・慣習としてはじまりました。現在はインターネットの商業利用が盛んになり、だれでもが利用するようになったため、ネットワーク利用に対する考え方や価値観が多様化し、ネットワーク利用のルール、マナー、セキュリティーに関する問題が起きています。
法律上の問題は別として、ネットワークを円滑かつ安全に利用するには情報を提供する側と情報を利用する側の双方で、最低限守るべきマナーやルールが必要になります。
ネチケットの基準
ネットワーク上で利用できる機能は、個人の判断で無制限に使えるということではありません。自分がができれば何でもやっていいということではあれません。使い方によっては、人に迷惑を掛けたり、人の権利を侵害したり、経済的な損失を与えたりすることになります。
「ネチケット」は上記のことが基準になりますが、使用者間のモラルに基づく慣習ですので、利用者のコンピュータに関する知識や操作能力、価値観によっても変わります。
「ネチケット」は、ネットワークの仕組みなど技術に関するものとホームページやブログ、メールの記述内容に関するものがあります。技術に関するものはパソコンやネットワークに関する知識がないと、なぜそのようにするか意味のよくわからないものもあります。
また、「ネチケット」とされてきたものの中には、高速・大容量化が進んでいるため意味を失ってしまったものものや、商業サイト中心のインターネット利用とは矛盾するものもあります。
通信回線のスピードと容量
ブログやホームページに容量の大きい画像や映像を載せたり、メールに大きな添付ファイルを付たりすることは、相手に迷惑をかけたり、不愉快な思いをさせることがあります。個人に与えられた受信メールサーバのスベースはプロバイダーにより異なります。無料プロバイダでは5MBぐらいの所もあります、また、大手プロバイダの無制限でも、ひとつのメールの大きさには上限があります。すべての人が自分と同じ回線環境ではありませんので配慮をしてください。ウイルスの問題もありますので、添付メールを送るときには見出しや本文に何の添付であるか記載するのがネチケットです。また、容量の大きい添付ファイルを付ける場合は相手の了解を得てから送るのがネチケットです。
相手に負荷を与える可能性のある技術や手法は使わないことが原則ですが使う場合は明示してください。
文字コードの問題
コンピュータでは使用している文字コード体系が一致しませんと正常な文字表示はされません。文字化けや文字抜けという問題がおきます。コンピュータで使用する文字コード体系は複数あります。現在、日本では「シフトJISコード」を標準で使います。
ホームページに関してはインターネットに使われるサーバーシステムの関係から、半角のカタカナ文字使えません。表示されることもありますが保証されません。ただし、携帯電話のiモードでは半角のカタカナをサポートしています。
また、「機種依存文字」「外字」「特殊文字」も、その機種固有の文字ですので利用できません。iモードの絵文字はiモード固有の機種依存文字でですので、パソコンのシステムでは表示されません。顔文字は、シフトJISコードの半角記号を組み合わせたものですので、どのシステムでも使えます。
メールに関しても上記と同じようなことがいえます。メールを書いたときの文字コードと相手が読んでいるときの文字コードが一致する必要があります。メールには半角カタカナや特殊文字は使わないようにしてください。また、見出しに半角の英数記号は使わないようにしてください。記述の仕方によっては迷惑メールと判定されることがあります。
メールの設定
メールソフトも使い方や設定により、情報漏洩、プライバシーの侵害、ウイルス感染などの問題を生じます。特に送信設定は方法を誤りますと個人情報を不特定多数に公開してしまう危険があります。メール送信機能の「CC」や「返信」、「転送」は便利な機能ですが、使い方を誤りますと情報漏洩の原因なったり、個人間の感情問題になったりします。メールソフトの機能はその仕組みや内容をよく理解してから使うことをおすすめします。
ネットワークの仕組みなど技術に関するもの
インタネットを利用する人がだれも同じ環境で利用しているということではありません。「環境」とは使っているパソコン(メーカーや機種など)、基本ソフト(OS)、使用回線の種類、使用閲覧ブラウザ、使用電子メールソフト、その他使用アプリケーションソフトなどをいいます。仮に、同じだとしても、これらの設定がまったく同じということはありえません。
特に業務では情報処理部門で使用環境を統一していますので、相手がどのような使用環境にあるか確認する必要があります。
また、パソコンに関する知識や操作能力が誰でも同じではありません。使用ソフトや使用機能は誰でもが同じものを使っているとは限りません。こちらでは当たり前であっても相手側では困る場合もあります。こうしたことへの配慮がネットワークの仕組みなど技術に関する「ネチケット」になります。
どのようなケースがあるか、具体例
- 圧縮ファイルを送る場合は、メール見出しや本文に形式と中身を記載するのがネチケットです。見出しに「圧縮添付Zip」などと付け、本文には「○○○に関する資料をお送りします。(データはワード2003の標準形式です)」などと記載します。
- 相手が該当ソフトウエアを持っていないと対応できない場合は必ず入手先や使い方の概略を説明するのが「ネチケット」です。
- Office2007のオープンXML形式のファイルを送る場合は、現時点(2008/02/30)ではまだOffice2007を持っていない方のほうが多い状態ですので、以前のバージョンではどのようにして読み込むかなど説明を付けるのがネチケットです。本来は、誰でも使えるOffice2003あわせるのがネチケットです。
- 国内では、シフトJIS以外の文字コードを使う場合は、文字化けや文字抜けの問題がありますので、使っている文字コードを記述するのがネチケットです。
上記のようなことをしていたらパソコンを使う意味はないではないかという意見も多数あります。
ホームページやメールの記述内容に関するもの
記述内容に関する「ネチケット」は、社会的な観点からまとめると次のようになります。「記述内容」とはブログやホームページの掲載内容、掲示板への書き込み、メール本文の記述をさします。
- 公序良俗に反する内容や特定人物や特定組織等への誹膀中傷を行う内容
- 知的財産権の侵害(著作権、商標など)になる内容
- 経済の安全性、信輸昨を損なう恐れのある内容
- テロ行為や自殺、殺人の誘導など反社会的行為になる恐れがある内容
- デマや虚偽情報により経済を混乱させたり、利益をえる内容
- 各種の法令、法規および通達に違反する内容
- 政治活動、宗教活動もしくはこれに類似する活動の利用
Webページなどの著作権について
画像、映像、音楽などの著作権には注意してください。無断で使用・配布すると著作権法違反になります。ホームページにあるものはすべてが著作物であるといっても過言ではありません。現在の、ホームページは複雑な形式になっていて、提供している個人、法人が著作権者ではない場合もあります。第三者から使用許諾を得て使用している画像、文書などが含まれいます。
インターネットのWebページはネットワークを利用する人たちの共有財産的な意味があり、リンクを張ることができますが、個々のものは作成者や提供者の著作物ですので利用する場合は「利用規約書」を確認してください。ない場合でもネチケットに従っておこなってください。
URLの取り扱い
ホームページのリンクは技術的にはやり方が分かれば誰にもでもできますが、個人の判断で自由にできるということではありませんの注意してください。ホームページには、リンクについての規定や注意事項が載っていますので、必ず確認してからリンクを張ってください。リンクを張ることを禁止しているサイトもあります。
引用について
引用は下記の条件を満たしているときのみ使用できます。すべての条件を満たしている必要があり、個人の判断では問題を生じることもあります。トラブルを避けるためにも事前に著作者の了承を得るようにしてください。
- 内容からその必然性があること
- 最小限の引用であること
- 著者名、書名、出版社名の出典先が明記されること
- 本文と引用は明確に区別できること。
- 本文が主で、引用部分は従であること
メールの内容に関するもの
- 件名は内容を推測しやすく、わかりやすくものにします。相手にとって意味不明となる英字は使わないようにしてください。
- メールの最初に自分の名前を入れ、誰からのメールなのかすぐに分かるようにします。メールの最後には、署名をつけます。
- 相手がすぐにメールを読める環境にあるとは限らないので、時間的な余裕をもって送るようにします。
- クレジット番号やパスワードなどのやり取りはしないようにします。他人に見られてしまう可能性が無いわけではありません。
- 送信する前にもう一度、内容や相手のメールアドレスを確認します。一度送ってしまったメールは取り消しはできません。間違えた相手によっては大変な問題になります。
- メール本文の記述表現には気をつけてください。相手を不快にさせたり、迷惑をかけたりすることがあります。相手により配慮してください。取引先や上司に出すメールも同僚に出すメールも同じ記述表現では問題になります。