このページは知的財産権の概要をパソコン利用の観点からまとめたものです。詳しくは「文部科学省」または「特許庁」のWebページをご覧ください。また、各分野の法律事務所が、一般の方用に解説したWebページも提供しています。現在、知的財産権に関する法律はネットワーク社会に対応できるよう随時改正されています。
人の知的活動を権利として保護するものです。その活動から生み出された創造物に対する財産権(所有権)を「知的財産権」または「知的所有権」といいます。日本はWIPOに加盟し、知的創造物に対する財産権を定めています。
「WIPO World Intellectual Property Organization」は「世界知的所有権機関」の略称です。1970年に設立された知的財産権の国際的保護機関です。知的創造物に対する財産権の法律は各国とも基本的な骨組みが同じです。
一般的には著作権が有名ですが、知的財産権には経済産業省(特許庁)管轄の工業所有権と文部科学省管轄の著作権があります。それぞれの法律により保護の観点が異なります。
著作権の概要
著作者の創造物(著作物)を保護する権利です。著作物には文書、絵、写真、画像、映像、音楽、出版物、ソフトウエア(プログラム)などがあります。著作権は著作者人格権、著作財産権、著作隣接権に大別されます。
著作権は届け出を必要とせず、作成した時点から発生します。個人では没後50年,法人では公表後50年間は権利が継続します。個人の場合は公表の必要もないので、全く知らなかったことを証明できれば侵害にはなりませんが、確認を怠ると侵害になります。
著作者人格権
著作物を公表する権利の「公表権」、著作者の氏名を表示する権利の「氏名表示権」、著作物の改変を防ぐ権利の「同一性保持権」などがあります。
著作者財産権(譲渡することができる)
著作物を無断で複製させない権利の「複製権」、無断で放送させない権利の「放送権」、他者の使用を認める「貸与権」などがあります。
著作隣接権(譲渡することができる)
著作権が発生しない古典作品や著作権の期限が切れたものでも、著作物の伝達に重要な役割を果たしているものには著作隣接権が発生します。実演家の公演、放送事業者の放送、レコード会社が作成したテープやCDなどには著作隣接権が発生します。
その他
「肖像権」
自分の顔や姿を無断で使用されないようにする権利。特定個人を映した写真、似顔絵などを使用する場合は本人の了解を得る必要があります。肖像権には著作人格権に関係する場合と著作財産権に関係する場合があります。
「公衆送信権と送信可能化権」
1998年1月の著作権法改正により、著作権として「公衆送信権」と「送信可能化権」 が加わりました。インターネット上で、第三者の著作物を無断で無料配布(ダウンロード)できるようにすると著作権の侵害になります。
工業所有権の概要
工業所有権には特許権、実用新案特許、意匠権、商標権、商号権などがあります。特許庁に申請をすると類似、競合するものがあるか審査が行われます。
その後、所定の手続きを経た上で認められると権利が発生します。通常申請は申請代行業者を通して行われます。
商標権・商号権
通常、営業上使用している商品名、マーク、ロゴは商標登録や商号登録がされています。 また、商品の形(デザイン)は意匠登録もされます。個人、法人を問わず、商品名、形(デザイン)、ロゴ、マークは同じものや酷似したものは他者が使うことはできません。また、類似したものでも使われ方により問題になることがあります。
会社名や商品名は一般的な意味合いの文書には使えますが、表記を間違えないようしてください。略称はその会社が広告やカタログなどに使用しているものを使います。自分が製造したり、販売しているような表記をしますと問題になります。
また、商標登録されている商品名が一般的になり、こうしたものとは気づかない場合がありますので、営業上の文書を作成するときに注意してください。セロテープ、マジックインキ、感圧紙、宅急便、ディスケット、セメダインは製造またはサービスをおこなっている会社の登録商標です。