コンピュータネットワークにおいて,送受信相手のコンピュータを識別明示するものを「アドレス」といいます。ネットワークに接続している各コンピュータの識別番号になります。送受信はこのアドレスに対しておこなわれます。インターネットやLANに使う「TCP/IP」というプロトコルでは「IPアドレス」をもちいます。ただし,「IPアドレス」は数字形式でわかりにくいため,一般には「ドメインネーム」という文字表記形式を使います。

IPアドレスの表記

32ビット構成で,8ビットずつ4つに区切ったものを10進法に置き換えて表記します。ブラウザやメールの接続設定に出てくる「.」で区切られた3桁の数字です。マニュアルの説明通りに指示欄に入力したと思います。これは接続先,つまり契約プロバイダーの接続サーバーのIPアドレスなどです。IPアドレスは受信メールサーバー,送信メールサーバーなどサーバーごとにあります。また,ルータなどの通信機器にもあります。

32ビットを
8ビットに区切る → 
 00101111  10001110  01101111 00000001
10進数に変換 → 217. 47. 142. 1

現在は,一般の方がIPアドレスを入力しなくても接続設定用の自動プログラムが用意されていることが多くなりました。また,設定をする場合でも図入りの説明書があり,指示された欄に指示通りの入力をすれば設定できるようになりました。

グローバルアドレスとプライベートアドレス

「IPアドレス」には,インターネット上でもちいるグローバルアドレスとLAN内でもちいるプライベートアドレスとがあります。企業LANではネットワークエンジニアの方がプライベートアドレスを各コンピュータに割り振りをしています。一般家庭のLANでは通常,自動割り振り機能を有効にして使います。

グローバルアドレス  global address

インターネットに接続されているコンピューターに割り振られるIPアドレスです。インターネット上のコンピューター識別に使います。IPアドレスは一元的に管理されており,日本国内ではJPNICがその役割をしています。現在,「jp」ドメイン名の登録管理業務は「株式会社日本レジストリサービス(JPRS)」がおこなっています。

プライベートアドレス  private address

LAN内の各コンピューターに割り振るIPアドレスで,ネットワーク管理者が所定の方式に従い自由につけることができます。設定ができるプライベートアドレスの領域はRFCにより規定されています。「RFC(アールエフシー)」は「request for comments」の略で,インターネットに関する技術開発組織(IETF Internet Engineering Task Force)が公開している技術仕様書の集まりのことをいいます。

IP(アイピー) マスカレード   IP masquerade

「プライベートアドレス」はLANの内側だけを対象にしたものでインタネット上で使うことはできません。このためLANのプライベートアドレスをインタネット上で使えるようにする仕組みが必要となります。この仕組みの代表的なものが「IPマスカレード」機能です。この機能では,1つのグローバルアドレスに複数のプライベートアドレスを割り振ることができるため,LAN内の複数のパソコンから同時にインターネットにアクセスすることができます。

DHCP ディーエッチシーピー  dynamic host configuration protocol

IPアドレスは固有の識別番号ですので固定されていますが,これを動的に割り当てるプロトコルのことをいいます。動的とはコンピューターがネットワークを使うときに割り当てられ,終了すると回収される形式のものです。この役目をするサーバーを「DHCPサーバー」といいます。DHCPサーバーには動的な割り当てができるIPアドレスが複数確保されていて,クライアントから割り当て要求があるときに使います。ネットワークの設定画面にある「IPアドレスを自動的に取得する(検出する)」という表記はこのことを意味します。

IPプロトコルのバージョン

IPv4  アイピーブイフォー  Internet protocol version 4

IPプロトコルのバージョン4をさします。IPv4は32ビットのアドレスを使い通信先を特定します。最大で約43億個のアドレスを設定できますが,インターネットの普及によりこれでは足りなくなる可能性があり,IPv6が策定されました。

IPv6 アイピーブイシックス  Internet protocol version 6

IPv6は128ビットのアドレスを使い,セキュリティ機能や通信の優先順位を制御機能なども含まれる規格です。これにより36桁の数字組合せのアドレスが可能になり,コンピュータだけでなくインターネット家電にもIPアドレスを割り振ることができるようになります。