ネットワーク構築に使う機器やケーブルにはいくつもの規格があります。どのような形態のネットワークを組むかにより使用する機器やケーブルが異なることもあります。また、利用しているプロバイダーの通信方式により、利用できる通信機器のタイプに制限を受ける場合もあります。
ネットワーク機器を購入するときは自分の利用環境(使用パソコンの型、台数、利用場所、目的)をよく説明してからお買い求めください。また現在は、ネットワークの接続設定サービスをプロバイダや販売店がおこなっていますので利用することをおすすめします。無料の場合と有料の場合がありますのでご確認ください。
通信機器の説明を理解するにはコンピュータネットワークの知識が必須です。ネットワークに使う機器やケーブルの名称は一般の方には聞き慣れない用語ですので、代表的なものについて概要を解説してあります。
接続ケーブル
一般の方がパソコンで使うネットワークケーブルはLAN用の「ツイストペアケーブル」です。最近はフラットタイプのものが主流で、「フラットLANケーブル」などの名称で販売されています。
ツイストペアケーブル
現在、LANの接続には通常このケーブルを使います。2本の銅線をより合わせて対にしたケーブルで、「より対線」とも呼びます。両端には電話のモジュラー端子を一回り大きくしたような「RJ−45」というコネクターがついています。LANの規格や用途によって、結線数やピン配置が異なります。パソコン同士では「クロスケーブル」を使い、ハブ同士やハブとパソコンを接続するときは「ストレートケーブル」を使います。
LAN用ケーブルの規格
ツイストペアケーブルには、箔や編み込み線でシールドを施した「STPケーブル」とシールドのない「UTPケーブル」があります。また、対応信号周波数によって6段階の品質区分(カテゴリー)があります。
現在の市販製品(ネットワークカードやハブ)の多くは「10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-Tx/1000BASE-TX」など複数の規格に対応するデュアルスピードのものが一般的です。ケーブルもカテゴリー5以上のものを使えばほとんどの規格に対応します。固定高速の光回線を利用する場合はカテゴリー6を使用してください。
光ファイバー optical fiber
光通信の伝送路として用いる石英ガラスなどを伝導体として、光を利用して伝送する方式です。高速、大容量、長距離通信が可能です。ノイズに強く、雷などの電波障害の影響も受けにくいとい特徴があります。
現在インターネットの接続は光ファイバー回線を使いますので、家庭内のメディアコンバータ(media converter)まで黒く丸い回線が引きこもれています。光ファイバーコードは既存のコードとは扱いが異なります。折り曲げたり、踏んだりしないように注意してください。
メディアコンバーターにはLANの接続端子があり、LANケーブルでパソコンのネットワーク端子やルータのLAN端子に接続します。
ネットワークに使用する機器
実質、一般ユーザーが利用するネットワーク機器はLAN用のものが中心です。
NIC(Network Interface Card)
「ネットワークカード(ボード)」のことをいいます。ネットワークを構築するときにパソコンの拡張スロット(ノートはPCカードスロット)に着装し、この装置の接続端子にケーブルを接続します。現在のパソコンは内蔵型のものを標準装備していますで、一般ユーザーが取り扱うことはほとんどありません。
パソコンのネットワークカードは、実質LANのネットワークカードのため「LANアダプタ」または「LANボード(カード)」とも呼ばれます。
一般ユーザーにとっては、インターネット回線のパソコン側接続口の意味合いになります。
HUB(ハブ)
LANケーブルを延長・分岐接続するための集線装置です。RJ−45の接続口を4〜32個程度持つ箱状の装置で、各パソコンのLANボードとツイストペアケーブルで接続して使います。動作によってリピーターハブとスイッチングハブ(LANスイッチ)に大別できます。
スイッチングハブ(LANスイッチ) switching hub
「スイッチングハブ」は単に「スイッチ」とも呼ぶこともあります。通常のハブはポート間の転送を「リピーター」として機能しますが、スイッチングハブは「ブリッジ」として機能します。データ宛先のMACアドレスを調べ、該当する機器が接続されているポートにデータを転送します。
リピーターハブ
単純に各ポート間のデータ転送をおこないます。複数のポートをもつリピーターということになります。IEEE802.3標準では「リピーターセット」と呼びます。
カスケード接続
LANのハブやUSBのハブを多段接続することをいいます。ハブを段に重ねて接続すると配線コードが連続して滝(カスケード)のようになることに由来する名称です。一般家庭はこのようなことは起きませんが、企業では十数個のポートがあるハブを何段も重ねますのでこのような状態になります。
リピータ repeater
LANの伝送路(LANケーブル)が長くなると電気信号は弱くなりエラーが起きますので、伝送路規格には最大長の規定があります。これを超える場合はリピーターという電気信号を増幅して中継接続する装置を使います。通常、一般の方が購入する市販のHUB(ハブ)にこの機能があります。
ブリッジ bridge
伝送路のアクセス制御方式が異なる二つのLANを接続するときに使います。パケット通過の判断機能はありますが、ルーティング機能はありません。プロトコル(通信手順)に依存せず、MACアドレスを基準にデータの転送制御をおこないます。
MACアドレス Media access control address
LANカードなど、イーサーネットに接続するすべての機器が持つ固有の識別番号です。通信をするときには各機器の識別番号を参照して通信相手を特定します。MACアドレスは、IEEE(米国電気電子技術者協会)がイーサーネット接続機器を開発する各メーカーに割り当てをおこなっています。同じMACアドレスを持つ機器はありません。
ONU (Optical Network Unit
ONUは、日本語で「光回線終端装置」と訳され、光ファイバーで届く光信号をデジタル信号に変換し、パソコンやスマホなどの機器で利用できるようにする機器です。インターネット接続するために必要で、契約した通信事業者から無料でレンタルできるのが一般的です。ONUの役割光信号とデジタル信号の相互変換: 光ファイバーから届く光信号をデジタル信号に変換し、パソコンなどの機器で利用できる状態にします。逆に、パソコンから送信するデジタル信号を光信号に変換し、光ファイバーを通じて送ります。インターネット接続の橋渡し: ONUは、光回線と宅内のネットワークの橋渡し役を果たします。ONUの入手方法ONUは、基本的に契約した通信事業者から無料でレンタルできるため、購入する必要はありません。
ルーター router
LAN同士を接続したり、分割するときに使う機器で、対応するプロトコルのデータのみを転送します。伝送路判断(ルーティング)機能があり、データのあて先情報やプロトコルを判断して適切な転送をします。リピーターやブリッジより高度な接続をおこないます。
対応するプロトコル種類、回線種別、用途形態などで専用のルーターがあります。IPプロトコルのデータを転送できるルーターを「IPルーター」といいます。複数のプロトコルに対応したルーターを「マルチプロトコルルーター」といいます。


ブロードバンドルーター broadband router
FTTH、ADSL、CATVなど高速インターネット接続回線を複数のパソコンで利用する場合に使うルーターです。基本機能はローカルルーターと同じですが、他に、インターネット接続に必要なプロトコルをサポートしており、不正アクセスを防ぐセキュリティ機能を装備しているものが多くなりました。
無線LANルータ
一般ユーザーが使うブロードバンドルーターの主流は「無線LANルータ」です。ルーターが親機になり、子機のアダプタをパソコンに付け無線LANを構築します。
ダイヤルアップルータ
ISDN回線を複数のパソコンで共有する場合に使います。一般的にはダイヤルアップ接続機能をもつターミナルアダプターをさします。
メディアコンバーター media converter
異なる種類の通信ケーブルを変換する装置です。FTTHでは宅内に引き入れ光ファイバーをメディアコンバーターに接続します。メディアコンバーターにはイーサーネットのLAN接続端子があり、ここにパソコンやブロードバンドルーターからのLANコードを接続します。また、有線LANを無線をLANに変換する装置を呼ぶときにも使います。
ホームゲートウェイhome
異なる種類の通信ケーブルを変換する装置です。FTTHでは宅内に引き入れ光ファイバーをメディアコンバーターに接続します。メディアコンバーターにはイーサーネットのLAN接続端子があり、ここにパソコンやブロードバンドルーターからのLANコードを接続します。また、有線LANを無線をLANに変換する装置を呼ぶときにも使います。
PLC(ピーエルシー) power line communications
家庭内の電気配線をネットワークケーブルの代わりに使い、コンセントにアダプターを設置してパソコンなどを接続することでネットワークを実現する方式です。電力線通信と呼ぶこともあります。2007年秋頃からPLCアダプタを各メーカーが市販を開始しました。現時点では、同一配線内に接続する電気製品に制約を受けたり、同一コンセントに携帯の充電器が接続されいると動作不能になるなど、幾つかの問題点が指摘されています。現時点(2010/12)では一定条件下の利用になり、一般ユーザーの利用は時期尚早と思われます。