最近は新聞・テレビなどでも、ネットワークに関する通信回線の種類、通信方式、通信速度などが記載されるようになりました。一般の方にはなじみのない用語なので主なものをこのページで解説してあります。
「専用回線」「パケット」などインターネットや携帯を利用するときに見かける用語が多数あると思います。内容の理解は別として、これらの用語が出てきたときにネットワークの技術(通信の規格や方式)に関することだと分かるようにしてください。
概略の説明ですので、必要な場合は「通信・ネットワーク」に関する専門サイトでご確認ください。用語により、一般用の「パソコン用語事典」では掲載していないものもあります。
通信の速度表現
通常、1秒間に何ビット送れるかのという伝送量の単位を速度表現に使います。単位は「bps(bit per second)」と表記します。現在は「Kbps」や「Mbps」を使います。ネットワーク機器の性能や回線速度をあらわすときに使います。
「bps(bit per second)」は1秒間に何ビット送れるかの量をあらわします。1秒間にどのくらいの距離(長さ)を進むかとういうような速度をあらわす単位ではありません。通信回線では一度に送れる量が多いと結果として通信速度が速いことになります。
通信機器や回線に明記されている伝送速度は物理的な回線上の理論値です。ご使用の環境(野外回線の状態、パソコンや通信機器の性能など)により、現実の伝送速度は変わります。ほとんどの場合はこの物理的な回線上の理論値はでません。
アナログ回線
電話など音声信号の伝送を目的とする回線です。デジタル回線に比べ、伝送品質に劣り、高速伝送には向きません。パソコンはデジタル信号ですので、アナログ回線を使うためにはモデム(MODEM)という通信装置が必要になります。
モデム MODEM  MODulator and DEModdulator
アナログ回線を使用するときのデータ回線終端装置(DCE)です。MODulator(変調器)と DEModdulator(復調器)の略で、通信をするときのアナログ信号とデジタル信号の変換装置です。デジタルからアナログに変調し、アナログからデジタルに復調します。
デジタル回線
デジタル信号を使用する回線で、高速デジタル回線や衛星通信回線があります。アナログに比べ、高品質、高速の伝送ができます。
DSU デジタル回線終端装置  Digital Service Unit
ISDNなどのデジタル回線を使用するときのデータ回線終端装置(DCE)です。現在は、ターミナルアダプタ(TA)にデジタル回線終端装置(DSU)が内蔵されています。
TA ターミナルアダプタ変換器  Taminal Adapter
本来は、ある端末のインタフェースを特定のインタフェースに変換する装置のことをいいます。一般にはパソコンやアナログ電話機、モデムなどをISDN回線に接続するためのアダプターをさします。
ホームゲートウェイ
ホームゲートウェイは、モデム等を介してLANのホストからWANへのネットワークアクセスを提供する小型の消費者向けルーターです。複数の通信機器をネットに接続するには、複数のLANポートがある、もしくは無線(Wi-Fi)機能があるルーターが必要です。ホームゲートウェイは信号の変換とともに、ルーターの役割も担っています。ホームゲートウェイがあれば複数の機器でインターネット通信が可能になるので、ルーターを使う必要がありません
通信回線の種類
専用回線
接続先が専用線で固定しているので、接続操作が無く、高速で信頼性の高い通信ができます。費用は毎月一定額の固定料金制なため、データ量の多い企業での利用が中心です。現在の家庭用FTTHはその都度接続する方式が中心ですが、固定接続のサービスもおこなっています。
交換回線
電話のようにその都度相手先と接続する方式のことをいいます。デジタル回線の交換方式には、回線交換方式と蓄積交換方式があります。
- 回線交換方式
伝送が必要なときに、物理的な回線を接続しておこないます。比較的データ量の多いものも送れますが、双方が同一通信速度であるという制約もあります。 - 蓄積交換方式
蓄積交換方式にはパケット交換方式とメッセージ交換方式がありますが、現在はパケット交換方式を使います。
伝送技術
パケット交換方式  packet exchange
データ通信時にデータをいったん小さな部分(パケット)に分割して送受信する方式です。パケット(Packet)はデータを128ビットまたは256ビットごとに分割し、あて先や全データ中のどの部分なるかなどの制御情報を付加したものです。
パソコンから送信する場合は、PAD機能を持つターミナルアダプターなどでパケットに分解してから相手先に送りだします。受信時にはPAD機能で再び元のデータを復元して、接続されているコンピューターに送信されます。
それぞれのパケットに宛先などの情報が付加されているため、複数のパケットがそれぞれ通信回線上の空いている経路を通って伝送されます。一つの伝送が回線を占有しないため効率の良い通信回線の運用ができます。ただし、パケットの量が多くなると全パケットが送られてくるまでに時間がかかることになります。
インターネットや携帯に出てくる「パケット通信」とはこの方式のことをいいます。
PAD  packet assembly and disassembly
パケットを分解・組み立てる装置です。パケット化されていないデータをパケットに分解したり、パケットデータから復元する装置またはその機能をさします。通常、パケット通信をおこなう通信機器に内蔵されいます。
ATM方式 エーティーエム  asynchronous transfer mode
非同期転送モードともいいます。データを53バイトの固定長データ(セル)に分割して送受信する通信方式です。セルにはあて先などのコネクション情報をもっていて、ATMスイッチと呼ばれる交換機により、受信先ごとに振り分けられて受信先に届きます。仕組みはパケット交換システムに似ていますが、光ファイバーなどの高速通信回線を利用するために開発され技術です。この技術を利用したLANをATM−LANといいます。
伝送方式
ベースバンド方式 baseband
無変調のまま周波数帯を変えず、電圧や光の強弱に変換して伝送します。回路は単純ですが雑音に影響されやすく、歪みも大きくなりがちで長距離転送には向きません。主にイーサーネットLANで使います。通常、一般の方がパソコンで使うLANはこの方式です。
ブロードバンド方式 broadband
複数の変調した信号を複数の異なる周波数帯で同時に送る方式です。同時に伝送できるデータ量が増えるため、高速または大容量の意味で使います。ただし、回路が複雑になるため距離が長くなると伝送速度が保証されない問題もあります。
一般的には、ADSL、FTTH(光ファイバー)、CATVインターネットなどの1Mビット/秒以上の回線をブロードバンドと呼んでいます。最近はブロードバンドのことをBB(ビービー)と呼んだりします。
よく似た用語に「ブロードキャスト(broadcast)」があります。ネットワークにつながっているすべての通信装置に一斉にデータを送信することをいいます。「一斉同報」とも呼ばれます。
通信方式
単向式
従来のテレビやラジオのように一方通行のものをいいます。新しくはじまったデジタルテレビ放送は双方向式です。
半二重
「半二重」は双方向通信をおこなうときに、送受信を交互におこなう通信方式です。トランシーバーで通話をするように、一方が送信している間、他方は送信できません。
全二重方式
双方で同時に送受信できる通信方式です。電話による通話は全二重方式になります。
同期式
データ通信で、伝送するデータの同期情報(開始位置や終了位置など)も伝送する通信方式です。この情報により送受信のタイミングをはかることを「同期をとる」といいます。
非同期式
データ通信で、送受信のタイミングをとらない通信方式です。非同期式はデータだけを送受信します。「調歩同期式」のことを「非同期式」と呼ぶこともあります。
調歩同期式
一文字をあらわすデータの先頭にスタートビットを、末尾にストップビットを付けて送信する伝送方式です。ビットで区切られた単位はスタートビットで同期をとります。かっての「パソコン通信」では標準的通信方式として使われました。