「ネットワーク」とは情報のやり取りができる通信網のことをいいます。通信技術とコンピュータを組み合わせたものを「コンピュータネットワーク」といいます。「コンピュータネットワーク」はシステム構成、配線方式、接続手順、通信規格など複雑な条件により成りたち、これらの違いで分類の仕方や呼び方があります。
一般ユーザーにとって「コンピュータネットワーク」とは「インターネット」を意味しますが、「コンピュータネットワーク」は「インターネット」だけではありません。最近のコンピュータネットワークはインターネットの通信技術が取り入れられ、インターネットと融合がはかられていて一般ユーザーでは判別しにくい状況にあります。
現在、一般ユーザーがパソコンを使うときに取り扱うコンピュータネットワークには「インターネット」と「LAN」があります。
インターネット  Internet
米国が軍事目的に開発したネットワークシステムの「ARPANET」が原型といわれます。TCP/IPプロトコルという通信規格を使うコンピュータネットワークが、いくつもの基幹ネットワークを中心に相互接続し、世界規模のネットワークを形成しているものをいいます。主に大学や研究所間の通信網として発展し、その後一般公開され商用利用されるようになりました。
中・小企業や一般個人は任意のインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)と回線契約して使用します。かっては、ダイヤルアップIP接続、ISDN、ADSLなどを使用しましたが、現在は、FTTH(光回線)と無線LANを使う方式が標準になりました。この場合、各接続者(一般利用者)はプロバイダのクライアントサーバーシステムのクライアント立場で利用することになります。
LAN  ラン  Local Erea Network
「構内情報通信網」といいます。同一敷地内など比較的狭い範囲のネットワークをいいます。私設の通信回線なので、公道をまたいで配線してはならないなどの規定があります。通信使用料はかかりませんが、設置にかかる費用は自己負担になります。
パソコンでは、パソコンとパソコンをつなぐとき、インターネットの回線にパソコンをつなぐときにLANを使います。一般の方にとってはLANを使うというよりは、「パソコン同士の接続の仕方、インターネットの接続の仕方」という意味合いになります。
通常、企業ではイーサーネットという伝送路規格を使いクライアントサーバーシステムのLAN(ラン)を構築し、イントラネットによるグループウエアを導入します。
WAN  ワン  Wide area network
「広域情報通信網(パブリックネットワーク)」といいます。 LAN(ラン)に対して、離れた広い範囲にあるLAN同士を専用線で接続したネットワークシステムのことをいいます。接続用の回線には、公衆電話回線、公衆データ回線、ISDN、xDSL、専用線網、通信衛星などを使います。最近は、インターネットを仮想的な専用線(VPN)として使い、LAN同士を接続することもおこなわれます。
仮想専用線(VPN)
インターネットを利用して仮想の専用ネットワークを構築して、安全な通信を行うための技術です。
VAN  バン  value added network
「付加価値通信網」といいます。単に回線接続だけではなく、その回線を使った各種の付加価値サービスを提供するネットワークのことをいいます。VANが提供する付加価値サービスには、プロトコルやコード変換などのサービスから電子メールサービスなど、各種のコンテンツ提供サービスがあります。
かっては、はNTTなど第一種通信事業者から回線を借り受け、付加価値を付けて販売する第二種電気通信事業者をVAN業者と呼びました。インターネットサービスプロバイダもこの中に含まれましたが、現在は電気通信事業法が改正され第一種、第二種という区分けはなくなりました。
無線ネットワーク
今までのネットワークシステムは「有線」が主流でしたが今後は「無線」になります。パソコンも一般ユーザーに身近なものから無線化されていきます。既にインターネットに接続するためのLAN機器では無線ルータが主流になり、市販マウスやキーボートもワイヤレスのものが多くなってきました。無線ネットワークは通信距離の範囲により「WAN」「MAN」「LAN」「PAN」の区別があります。
- 「無線WAN(広域)」wide area network
携帯電話などの広域無線通信網。 - 「無線MAN(地域)」metropolitn area network
基地局を中心にした無線ネットワーク。「WiMAX」が該当します。 - 「無線LAN(同一敷地内)」local area network
オフィスや家庭内のパソコン同士の接続 - 「無線PAN(自宅内)」personal area network
パソコン周辺機器の接続などに使う「Bluetooth」規格
パソコン通信
コンピュータの世界では「パソコン通信」と「インターネット」は別のことを意味します。インターネットが普及する以前にも、パソコンを利用した付加価値情報通信サービスはありました。これを「パソコン通信」といいます。インターネットの普及により消滅しました。
パソコンにアナログ回線用のモデムをつけ、公衆回線(電話回線)経由で、プロバイダのアクセスポイントにつなぎ、電子メール、電子掲示板(BBS)、チャットのサービスを利用します。フォーラムという同趣味趣向者が情報を交換する場もありました。現在の文字形式のマガジンメール(メールマガジン)はこの時代に生まれたものです。
インターネットとはまったく異なるネットワークの仕組みで、各種のサービスは同一プロバイダに契約をしているユーザー間でしかおこなえませんでした。この頃は、パソコンが現在のように普及はしていませんでしたので、パソコンを趣味としている方または業務上必要となる方の利用が中心でした。
パソコン通信のプロバイダには、米国のAOL、CompuServe、日本のNIFTY SERVEやPC-VANなどがありました。現在は社名を変更したり、合併して、ISP(インターネットサービスプロバイダー)になっています。
現在は「パソコンの通信」といえば、「インターネット」とのことを意味いますが、パソコンの資格試験などでは、「パソコン通信」と「インターネット」を区別している場合がありますので注意してください。
社会におけるネットワークシステム
日常、社会的に利用するコンピュータネットワークには、銀行のATM、クレジットのキャッシュディスペンサー、鉄道・飛行機・劇場などの予約サービスなどがあります。かっては、専用線を使ったコンピュータネットワークシステムが中心でしたが、現在は予約サービスなどインターネットのWebページを利用する方法に移行しています。
スーパーやコンビニのレジはPOS(ボス)というオンラインのコンピュータネットワークシステムです。今までは一般の方が直接使うことはありませんでしたが、最近は自分でレジ入力して支払いをするスーパーが出現しています。
POS(ボス)システム Point of Sales
スーパー、コンビニなどで商品流通と販売管理するコンピュータネットワークシステムをいいます。POSシステムのレジは本社のコンピュータと専用線で常時接続しています。レジに付属するバーコードリーダーで読み取った商品情報は、即本社のコンピュータヘ送られます。このデータを集計して販売管理や在庫管理など営業上の情報として利用します。