パケットライト方式のライティングソフト(機能)は共存はできません。使用しないパケットライト方式のライティングソフト(機能)はアンインストールしてください。パケットライト方式以外のライティングソフトは原則として共存できますが,まれにどちらか一方が起動しない,起動はできるが書込がうまくいかないなどの状況が報告されています。インストール時のシステム設定によると思われますが,ドライブの性能なども関係あり一般ユーザーでは対処できません。このような場合はどちらか一方をアンインストールして使ってください。
「ライティングソフト(writing software)」とは
「ライティングソフト」とは,CD/DVD/ブルーレイの光ディスクを対象にデータを書き込むソフトウエアです。当初はCDの書き込みソフトのことをいいました。パソコンにプリインストールされていたり,ドライブを購入すると付属している場合もあります。市販パッケジ製品もフリーウエアもあります。
市販の画像・動画・ビデオ編集ソフトにもCD/DVDなど光ディスクへの書込機能があります。一般ユーザーが使用するプリインストール機にはDVDやブルーレイなどの光ディスクを利用する編集・記録ソフトがインストールされています。マニュアルでインストール済みのソフトウエアをご確認ください。
ドライブの兼ね合い
ライティングソフトを利用するときの前提となるのがドライブの性能です。以下の内容をマニュアルで確認してください。
- ドライブが書込可能なものであるか。CDは書き込めてもDVDは書き込めないものもあります.
- 書き込み可能であれば,書き込み対応メディアの規格,読込速度,書込速度.
- ライティングソフトがサポートしている書き込み方式をドライブもサポートしているか.市販品ではそのソフトがサポートしている書込に対応しないドライブの場合は警告メッセージが出ます.
ファイルシステム file system
「ファイルシステム」は基本ソフト(OS)がファイルを取り扱うときの管理方式のことをいいます。ファイルを記憶媒体に書き込み,読み込むときの基本となる単位,アクセス方法,配置,ファイル名の長さなどを決めます。ここでいうファイルシステムはCDを取り扱うときの形式です。
CDで使うファイルシステムには次のようなものがあります。該当ファイルシステムでCDメディアを利用するには,書込の際に該当ファイルシステム形式を指示したり,該当ファイルシステム形式でディスクを「フォーマット」する必要があります。
- ISO9660レベル1
ほぼすべてOSで使えすが,ファイル名は半角8文字になります - ISO9660レベル2
レベル1同等。ファイル名は31文字まで使えます - ISO9660レベル3
パケットライトに対応します
- Joliet
マイクロソフト社がISO9660を拡張した規格,ファイル名64文字,未対応でも8文字程度は対応します
アップルのMacintosh機ではのMac OS8までは「HFS」を,Mac OS9からは「HFS plus」というファイルシステムを使います。
ISO9660
「あいえすおーきゅうろくろくまる」と読みます。国際標準規格のCD論理フォーマットです。パソコンの基本ソフト(OS)が違っていてもCDのデータが読み出せることを目的として,ソニー社やオランダのフィリップス社などが提案した規格のハイシエラフォーマット(highsierra format)が元になっています。現在,ライティングソフトでCDを使う場合はこの方式が標準となっています。
UDF(ユーディーエフ) universal disk format
光ディスクの業界団体(OSTA)が定めた,書き込み可能なDVDメディア(ROM,RAM,Video,R)のファイルシステムです。現在は,DVD/ブルーレイを使う場合はこの方式が標準として使われます。CD-UDFというCD用の規格もあり,CDメディアをパケットライト方式で利用する場合に使います。
書き込み方式
一括書き込み方式
ハードディスク上に書き込むイメージを展開して,これを一括して書き込みます。ハードディスクにはこのためのワークエリアが必要になります。HDドライブが複数ある場合は空き領域の多いドライブにワークエリアの指定ができます。ライティングソフトのマニュアルにはこのための必要領域が明記されています。この形式を「プリマスタリング」方式または「マスタ」方式といいます。
オンザフライ書き込み方式
「オンザフライ(on-the-fly)」ともいいます。CD-RやCD-RW,DVD-R,DVD-REの光学メディアに書き込むときの方式です。「オンザフライ」では,イメージファイルを作らずにリアルタイムにディスクイメージ変換しながら書き込みます。ワークエリアは必要とせず一括方式より時間を短縮できます。
ただし,変換が書き込みに追いつかないとバッファアンダーランエラーを起こすという問題があります。現在はバッファアンダーラン防止機構付きのドライブが標準になりましたが,低価格機種では書き込み中にスクリーンセイバーや節電機能など常駐ソフトが動作するとエラーを起こすことがあります。オンザフライの書き込みがあるライティングソフトでは,書き込みテストができるようになっています。
記録方式
CDはセッション(session)というデータ記録単位に書き込まれます。セッション(session)は「リードイン/データ/リードアウト」で構成されます。音楽CD−ROMなどでは,データの開始位置と終了位置のコードはそれぞれ1カ所と決められています。これを「シングルセッション」と呼びます。この方式ではCD−Rなどのデータ追記に対応できません。未使用領域を利用するために複数のセッションが書き込めるようにしたものが「マルチセッション」です。マルチセッションを読み出すには対応するCDドライブが必要になります。現在のドライブはほとんどのものが対応しています。
ディスク・アット・ワンス disk-at-once
データをまとめて一度に書き込む方式。CD−ROMや音楽用CDと同じ仕組みのため,CD−ROMドライブやCDプレーヤーで再生ができます。ただし,データの追記・削除はできません。
トラック・アット・ワンス track-at-once
ライティングソフトの標準設定。データをトラックごとに書き込み,追記ができる形式です。追記の必要がなくなった時点でディスクをクローズ(追記禁止)します。1回の記録ごとにデータとは別に追記の認識情報に14MBを使います。
データをマルチセッション形式で記録したいときには,トラック・アット・ワンスで記録ができるドライブが必要になります。現在のドライブはほとんどのものが対応していますが,古いCD-ROM専用のドライブでは利用できません。
セッション・アット・ワンス session-at-once
CD-RやCD-RWので使う方式でセッション単位に書き込みます。セッション単位での追記もできます。エンハンストCDを作成するときに使います。
エンハンストCD
音楽用CDに,パソコン用のマルチメディアデータを追加したハイブリッドディスク(hybrid disk)をいいます。第1セッションに音楽CD,第2セッションにパソコン用のデータを書き込む形式のものです。「アクティブオーディオ」や「CDエクストラ」などの規格があります。
ハイブリッドは「複合,混合」という意味で,複数のファイルシステムでデータが書き込まれた記憶メディアを ハイブリッドディスク(hybrid disk)といいます。主にWindowsとMacintoshで動作するように作られたCD−ROMをさします。
パケットライト方式 packet writing
CD-ROMやCD-R,CD-RWメディアに記録する方式で,データを小さなパケットに分けて書き込む方式です。フロッピーディスクやUSBディスクのようにフォルダやファイル単位で読み・書き・消去ができます。主にパソコンのデータを記録するときに使います。パケットライト方式専用の書込ソフトを「パケットライトソフト」といいます。
ただし,パケットライトを使うためには最初にディスクのフォーマットが必要です。CD−Rは数秒で終わりますが,CD−RWは10分前後かかります。また,パケットライトソフトを使う場合,書き込みにソフトに対応するリーダー(読み出しソフト)が必要になります。同じパケットライトソフトを使っているユーザーでないと読み出すことができません。
Mt.Rainier マウントレイニア
米マイクロソフトやオランダのフィリップス社,ソニー社などが策定を進めたパケットライトの統一規格です。「CD-MRW」ともいいます。パケットライトは書き込みに使ったソフトに対応するリーダーが必要になりますが,統一規格により他のリムーバブルメディアのように取り扱えることを目的とした規格です。
光ディスク書き込みのポイント
CD/DVD/ブルーレイの光ディスク書き込みでは,使用するドライブの規格,使用するメディアの規格,ファイルシステム規格,描き込み方式,記録方式を作成目的に対して適切に選択する必要があります。また,同一ライティングソフトでもバージョンによりサポートされる規格や形式が異なる問題もあります。
ドライブについてはスーパーコンボドライブやスーパーマルチドライブが標準になっていますのでCDメディアおよびDVDメディアの書き込みに関してのドライブ対応の問題は解決しました。ただし,ドライブの書き込み速度とメディアの書き込み速度が対応範囲内でないと書き込みエラーが起きます。
実質,一般ユーザーが規格や方式を名称から判断して操作することは困難ですので,市販ライティングソフトの機能メニューは「音楽CD丸ごとコピー」「マイ音楽CDの作成」「データディスクの作成」「バックアップCD作成」など作成用途の名称になっています。ただし,メニュー名称が一般の方の解釈とは一致しない場合もありますので,内容をマニュアルで確認してください。
Windowsの光ディスク書込機能
Windowsの場合
Windowsに付属するメディアプレーヤーのCD書き込み機能は音楽CDの書き込み方式ですので互換性はありません。
Windows 10の場合
Windows のこの機能ではCD-R/RWおよびDVD-R/RW,DVD-RAMの書き込み可能メディアに対応します。フォーマットはWindows形式で,「ライブファイルシステム形式」と「マスタ形式」があります。
⇒ Windowsヘルプとサポートで「CD/DVD形式の選択」を検索
ライブファイルシステム形式
フロッピーディスクやUSBメモリディスクのようにデータを追加,削除ききますが,書き込まれたデータをWindows XPより古いOSなど他の機種やプレーヤー機器ではほとんど読み取りできません。Windows Vista/7機種でのパソコンデータ用に適しています。
マスタ形式
作成したDVDやCD-R/RWは,他のパソコンやCD/DVDプレーヤーなどの機器で読み取ることができます。ただし,すべてのファイルを一度に書き込む必要がありす。書き込み後,個々のファイルを削除することはできません。一括バックアップなどデータ量の多いものをひとまとめに記録する場合に適します。
Windows 11
Windows11のこの機能は,設定画面の表示形式やコメントの記述内容が少し異なります。