解説画像パソコンで処理した情報(文字や画像など)を印刷するための装置です。用途観点では「印刷装置」と分類しますが、コンピュータの論理装置ではディスプレイと同じ「出力装置」になります。プリンタは構造や印刷方式からいくつかの分類名称があり、呼び名があります。現在は、主にインクジェットプリンタまたはページプリンタを使います。

最近のホームユースプリンタは複合機が主流なってきました。複合機はプリンタ、スキャナー、コピー機能を持っています。プリンタは意外と取り扱いの面倒な機器です。プリンタのトラブルは誰もが経験する事項です。

コピー機能のあるプリンタのデバイスドライバはPDFファイルの出力もサポートしています。印刷設定機能の中の出力先の選択に「PDF」があります。標準設定であれば「ダウンロード」フォルダーに、任意にダウンロード先を指定することできます。「PDF」を出力したら必ず設定を「印刷」に戻してください。

プリンタの呼び方

印刷単位のタイプ名称

横方向に1ドットずつ順番に印刷する方式を「シリアルプリンタ」といいます。1行単位に印刷する方式を「ラインプリンタ」といいます。1ページ単位に印刷する方式を「ページプリンタ」といいます。

ヘッド印刷方式のタイプ名称

打ちつけるなど機械的衝撃による方式を「インパクトプリンタ」といいます。焼き付けるなどの非衝撃式の方式を「ノンインパクトプリンタ」といいます。インパクト方式の代表的なものが「ドットインパクトプリンタ」です。かってはパソコンの標準的なプリンタでしたが、現在は複写伝票印刷用のプリンタになっています。ノンインパクト方式の代表的なものが「インクジェットプリンタ」や「ページプリンタ」です。

プリンタのインターフェース

従来のプリンタはパラレルインターフェースの規格を使い、プリンタコネクタまたはパラレルコネクタと呼びました。現在はパラレルインターフェースの規格をIEEE1284といいますが、パラレル転送のケーブルは太く取り扱いにくいとなどの難点がありUSB接続が標準になりました。プリンタの機種によっては両方の端子を装備しているものもあります。

ディスクトップ型やタワー型には、IEEE1284(パラレルポート)の端子も付いていましたが、省スペースディスクトップ機やノートパソコンにはIEEE1284(パラレルポート)は付いていません。

端子とコード

IEEE1284用のケーブル本体側はDsub25ピン端子、プリンタ側はセントロニクス36ピン端子になります。いずれもコード側がオスで、本体と機器側がメスになります。

USB接続では本体側がフラット型(TypeA)で、プリンタ側がスクエアー型(TypeB)になります。プリンタは消費電力が大きいため本体のUSB端子に直接接続します。ハブを使う場合はセルフパワードハブを使います。バスパワードハブでは必要な電力が供給できないため動作しません。

最近はパソコンとは接続せずデジタルカメラのメモリーカードから直接データを取り込み印刷できるタイプも増えてきました。

無線接続

最近は、有線LANの端子が付いていたり、無線LAN機能を内蔵している機種もあります。接続設定はプリンタに同梱されいるセットアップディスクを使い行うことができます。無線LANルーターを使用している場合や無線LAN機能を内蔵しているノートパソコンを使用している場合にお勧めします。

プリンタの性能

プリンタの印刷速度

cps  character per second  キャラクター・パー・セコンド
シリアルプリンタの印刷速度は、一秒間に印刷できる文字数で表します
ppm  page per minute  ページパーミニッツ
ページプリンタの印刷速度は、一分間に印刷できるページ数で表します

プリンタの印刷品質

解像度(dpi dot per inch ドットパーインチ)で表します。1インチの直線を構成するドットの数です。この数字が大きいほど1インチ中の点(ドット)の密度が高いことになり、印字品質がよくなります。

⇒ 『パソコンの基本知識』−[基本表現と単位]の[ドット]を参照

印刷の仕組み

印刷装置の処理速度は本体(CPUなど)の処理速度より遅いため、本体から送られる信号は「プリンタバァファ」という領域にいったん蓄えられて印刷します。印刷中止の指示をしてもプリンタバァファ内にあるデータは印刷されます。データ量が少ない場合は、すでに全データが送り込まれているため、中止しても全データが印刷されます。

現在のプリンタドライバには「プリンタスプーラ」という機能があり、利用していないメモリーやハードディスクの領域をプリンタバァファ一として使い、その領域に印刷データを移し、印刷装置の処理速度にあわせてデータを送り出しています。

ネットワーク接続でプリンタを利用する場合は、上記の役目をプリントサーバーがおこなっています。プリントサーバーのこの機能を「プリントキュー(print queue)」といいます。

プリンタードライバー  printer driver

プリンタは物理的に接続しただけでは使うことはできません。プリンターを制御するためのソフトウエア(プリンタードライバー)を組み込む必要があります。プリンタードライバーはその機種用のものが必要です。

現在はプラグアンドプレイという方式で自動的に組み込まれます。プリンタードライバーはOSの管理下にあり、使用者がアプリケーションソフトから印刷を実行すると、OSからプリンタードライバーに処理の指示がでて、プリンターを制御しながら印刷データを処理していきます。

⇒ 「プラグアンドプレイ」を参照

文字フォント(印刷される文字書体)

印刷される文字書体はOS側がフォントファイルとして提供します。通常、基本的な書体はWindowsに付属していて、インストールされています。フォントファイルは各書体ごとに、後から追加インストールすることができます。自分の好みのものを追加したり、いらないもは削除できます。フォントファイルはディスプレイの表示にも使われています。

カラー方式(CMYK方式)

プリンタのカラーは、三原色の減法混合を使います。インクの三原色、シアン(Cyan)とマゼンタ(Magenta)とイエロー(Yellow)ではグレーになってしまうので、ブラック(K)が必要となります。

プリンタの種類

インクジェットプリンタ  inkjet printer

インクの粒子を微小径のノズルから噴射して印刷する方式のプリンタです。文字や記号は行列のドットで構成され、この構成に応じて、多数のノズルからインクを噴射します。ノズルの噴射方式にはピエゾ型とバブルジェット型があります。旧型のものは、普通紙に印刷するとかすれたり、にじんだりすることがありますが、最近のものはほとんどおきません。また、高品質の印刷をするめたに専用紙も多数発売されています。現在は、低価格なカラー高画質のプリンタとして一般に広く普及しています。

ピエゾ型

印刷ヘッドに電圧をかけて振動させてインクを押し出す方式です。セイコーエプソン社が採用している方式です。

バブルジェット型

発熱素子を使ってインクを熱して泡を作くり噴射する方式です。キヤノン社や米ヒューレット・パッカード社が採用している方式です。

ページプリンタ  page printer

コピー機と同じように1ページ単位に印刷するプリンタです。主にビジネス用として使われています。原理はコピー機と同じで、感光ドラムを一定方向に回すことにより、「帯電→露光→現像→転写→定着→除電」を繰り返します。露光にはレーザー光を使うものが多いため、「レーザープリンタ」とも呼ばれることもありますが、発光ダイオード(LED)などを使ったものもあります。最近は、カラーの業務用も普及しています。

ページプリンタの性能は、1分間に印刷できる枚数(ppm)の印刷スピードと印刷解像度(600〜1200dpi)によります。他にドライバの性能や、搭載メモリーの容量、アウトラインフォントの搭載有無などもあります。

ドットインパクトプリンタ  dot-impact printer

千鳥配列に並んだワイヤーピンを持つ印刷ヘッドが左右に動き印刷します。字形は24ドットまたは48ドットのマトリックス要素で構成され、該当位置のピンが飛び出して、インクリボンを紙に打ち付けて印刷します。連続用紙を使い比較的スピードの速い印刷ができたためパソコンプリンタの主流だった時代もありましたが、ヘッドの構造から高品質の印刷ができないとい弱点があるため、現在は複写伝票を印刷するとき以外には使われなくなりました。

サーマルプリンタ  thermal printer

「thermal」は熱方式を意味します。一般的には熱転写プリンタのことをさしますが、デザイナーなどが業務用で使う昇華方式のものもあります。インクジェットプリンタの「バブルジェット」は、ノズルを加熱してインクを発泡させる仕組みのためサーマルインクジェット(thermal inkjet)ともいいます。

熱転写プリンター  thermal transfer printer

ビニールやカーボン系のインクリボンを熱転写する方式です。電流を流し加熱したヘッドでインクリボンのインクを紙に焼き付けているため、インクリボンの消耗が激しくランニングコストがかかりますが、小型・軽量・低価格が可能なため携帯用プリンターやFAX、レジスタなどに使われています。熱転写プリンターは、感熱紙を使えばインクリボンを使わなくても印刷できますが、印刷された用紙は長期間保存しておくと変色する難点があります。

昇華型プリンター  sublimate dye thermal printer

インクシートに付着してるインクを昇華させて紙に転写します。色合いの調整ができ発色が良いため写真品質の印刷ができますが、ランニングコストが高く、プリンタ本体も高額なものになります。主にデザイナーなどが業務用と使います。最近はデジタルカメラが普及したため、カードサイズの印刷ができる個人向けのタイプも発売されています。

ページ記述言語 PDL

ページプリンタではページ記述言語(PDL)で記述されたプログラムを解釈して印刷をおこないます。ページ記述言語はページ単位で印刷するときに、文字やグラフィックスなどの印刷イメージをプリンタに指示するための制御言語です。代表的なものに、米アドビシステムズ社の「PostScript」があります。その他、米ヒューレット・パッカード社の「PCL」、キヤノン社の「LIPS」、セイコーエプソン社の「ESC/Page」などがあます。

PostScript ポストスクリプト

米アドビ システムズが開発したページ記述言語です。テキストとグラフィックスの両方に対応し、プリンターなどの解像度に関係なく高品位で出力できます。PostScriptは、アプリケーション上で生成された文字や図形をベジェ曲線などのベクターデータに、画像をビットマップデータに変換します。そのデータは通常、出力装置側にあるPostScriptインタプリターで解釈され、プリンターやイメージセッターの解像度に合わせて出力されます。

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