プログラムやデータなどを記憶する半導体装置のことを「メモリ」といいます。容量は512KBなどバイト(byte)であらわします。メモリには用途や構造から異なる観点の呼び名があります。

用途観点では、「メインメモリ」「ビデオラム(VRAM)」「キャッシュメモリ」、構造観点では、「不揮発性メモリと揮発性メモリ」または「ROMとRAM」などがあります。

メインメモリ

論理構成上は「主記憶装置」と呼ばれる一時記憶装置です。コンピュータの処理はすべてメインメモリを介しておこなわれます。

説明図

メインメモリの増設

一般に「メモリの増設」といっているのは、このメインメモリを増設することをいいます。増設すると処理速度や安定性が改善されます。Windows 10機では最低4GB、Webサイトの閲覧程度なら動くことは動きます。標準では8GBでした。Windows11では最低8GBになります。Officeソフトによる通常の利用であれば問題ありません。画像や映像の編集するのであれば16GB必要です。

メモリスロット

メインメモリはモジュールという形式で提供され、この部品の差し込み口(コネクタ)が内部のマザーボード上にあります。この差し込み口(コネクタ)を「メモリスロット」といいます。メモリを増設するには空きスロットが必要です。機種によりメモリスロットの数やタイプが異なります。また、空きがない場合もあります。カタログなどにある「メインメモリの増設可能容量」とは、この空きスロットに着装可能な容量のことをいいます。下図はタワー型のマザーボードのメモリスロットです。

▽ディスクトップ機のメモリースロット▽

機種によりすべてのスロットにメモリが着装済みで増設できない場合があります。カタログやマニュアルでメモリの増設ができるか確認してください。また、増設メモリのモジュールは着装機種に対応している必要があります。購入するときは、必ず使用機種名を告げて確認してくたざい。純正品またはしかるべきオプション機器メーカーの対応機種製品を使ってください。

メモリモジュール

メインメモリの増設にはメモリチップが複数搭載されたモジュールを使います。モジュールとはひとつの機能を分割した部品のことをいいます。メモリモジュールは複数のDRAMで構成される細長い部品です。パソコンのマザーボード上の専用スロットに着装します。一般的にはこのモジュールを「増設メモリ」と呼んでいます。

▽ディスクトップ機に使われたメモリーモジュール▽

メモリモジュール形状

メモリモジュールにはSIMM(シム)タイプとDIMM(ディム)タイプの規格があります。「SIMM(Single In-line Memory Module)は現在使われなくなりました。

SIMMやDIMMモジュールに使うメモリ、DRAMには高速アクセスが可能なEDODRAM、SDRAM、RDRAMなどが使われます。

  • DIMM ディム Dual In-line Memory Module
     64ビットバス168ピンで形状で1枚で使います。現在はこのタイプが標準です。改良型のDDR1のDIMMは184ピン、DDR2のDIMMは240ピンで、接点側にある切り欠きの位置が異なり誤装着ができないようになっています。主にディスクトップで使用。
  • SO−DIMM エスオー・ディム Small Outline DIMM
     32ビットバス72ピン形状のものと、64ビットバス144ピン形状のものがあります。ノートパソコン用です。

最新の規格にRDRAMを搭載するRIMM(リム)という規格もあります。現在はDIMMが主流です。増設メモリを購入するときは、必ずご使用パソコンのメーカーと型番を告げてください。

メモリモジュール使われているRAMの種類

DRAM ディーラム dynamic random-access memory

パソコンのメインメモリーには、記録内容を保持するためにリフレッシュが必要なダイナミックRAMを使います。

SDRAM エスディーラム synchronous dynamic random-access memory

DRAMを改良したもので、メモリーバスのクロックに同期して動作します。DDR SDRAM、DDR2 SDRAMと改良され現在はDDR3 SDRAMが使われます。

DIMM DDR3 SDRAMにはデュアルチャンネル(dual channel)対応とトリプルチャンネル(triple channel)対応があります。いずれもメモリの転送速度を上げる手法で、同一規格および同容量のメモリを二枚または三枚を一組で使うことをいいます。デュアルチャネルやトリプルチャンネル対応のメモリを使うには、本体内のチップセットがデュアルチャネルに対応している必要があります。どのような機種でもできるわけではありません。本体の仕様書で増設メモリの規格を確認してください。

メモリを増設するときは、ご使用機種の対応製品でなければなりません。メモリメーカーのサイトには使用機種のメーカーと製品番号から該当するメモリ製品が検索できるようになっています。販売店で購入する場合は必ず、使用機種のメーカーと製品番号(型番)を告げて購入してください。

その他のメモリ

SRAM エスラム static RAM

DRAMのようなリフレッシュ動作を必要としないため高速で動作しますが、構造の集積効率が低い容量を大きくするとコストが高くなります。パソコンでは主にCPU周りのキャッシュメモリとして利用されます。

MRAM エムラム magnetic RAM

次世代メモリで、DRAMやSRAMとは異なる不揮発性メモリーの一種です。ハードディスクと同じように磁気でデータを記録します。動作速度が速く、大きさを軽く小さくできます。またパソコンの消費電力をすくなるすることもできます。

キャッシュメモリ

使用頻度の高いデータの一部を、一時的にメモリに保持し、アクセスの効率をあげる仕組みを「キャッシュ」といいます。このために使うメモリを「キャッシュメモリ」といいます。キャッシュメモリにはメインメモリよりも高速なSRAMを使います。

ここでいう「データ」とは一般の方が日常使う「データ」とは意味が異なります。CPUに取っての処理対象になるデジタル信号データを意味します。

CPUのキャッシュ

  • 1次キャッシュ primary cache
     CPUの処理速度を向上させるために、CPUに内蔵されているキャッシュメモリです。
  • 2次キャッシュ secondary cache
     1次キャッシュとメインメモリの間に置いて、処理速度を向上させるためのキャッシュメモリです。

現在は1次、2次キャッシュともCPUを構成する機能の一部として一体化されています。キャッシュメモリもパソコンの処理能力大きく影響します。パソコンの性能を判断する上で重要な要素条件であるため、最近のカタログではキャッシュメモリのタイプや容量が掲載されています。ただし、このメモリは増設したり取り替えることはできません。

ディスクキャッシュ  disk cache

ハードディスクなどの外部記憶装置のアクセスを高速化するキャッシュをいいます。CPUと外部記憶装置の間に配置します。ディスクキャッシュのメモリは外部記憶装置内にある場合、本体の拡張ボード上にある場合、本体のメインメモリの一部を使う場合があります。

VRAM ブイラム  video RAM(ビデオラム)

ディスプレイに動画や映像を表示させるためのパーツがグラフィックボードで、ビデオカード(ビデオボード)とも呼ばれます。動画再生や簡単な映像編集レベルであればPCに標準で搭載されているグラフィック機能で十分ですが、3Dゲームや高解像度のゲームなどの処理をする場合はグラフィックボードが必要になります。「VRAM」は「グラフィックスメモリ」ともいいます。パソコンのディスプレイ画面に表示する、3次元グラフィックスの処理に用いる表示専用に使うメモリのことです。

グラフィックスボード  graphics board

グラフィックスアクセラレーターともいいます。グラフィックスメモリなどで構成される画面表示用拡張ボードです。最近はグラフィックスボードを使わず、メインメモリの一部を使ったり、表示機能を有したチップセットを内蔵している機種が多くなりました。グラフィックス機能とビデオ機能を一体化した製品も多く、「グラフィックスボード」を「ビデオボード」とも呼びます。

仮想記憶

仮想メモリともいい、ハードディスクなどをメモリの代わりに利用する機能です。使われていないメインメモリの内容をディスクに書き出し、必要に応じて読み込む仕組みです。この動作を「スワップ(スワッピング)」といい、このために使うファイルを「スワップファイル」といいます。メモリが不足してもソフトの動作が可能になる半面、スワップ(スワッピング)が頻繁に起きると処理速度が遅くなります。

現在のパソコン用OSは、すべてこの機能を備えています。Windowsでは「エンハンストモード」という動作モードが仮想記憶に該当します。仮想記憶ではハードディスクにスワップファイルのための空き領域が必要になります。Windowsでは標準設定で、ハードディスクのCドライブ空き領域から適切な大きさのスワップファイルが自動的に作られるようになっています。

「不揮発性メモリ」と「揮発性メモリ」

不揮発性メモリ  non-volatile memory

電源を切っても記憶した内容を保持できるメモリーのことをいいます。デジタルカメラに使うメモリーカードやフラッシュディスクは、記憶させたものが保持できますので、「不揮発性メモリ」を使った製品です。

揮発性メモリ  volatile memory

電源を切ると記憶していた内容が消えてしまうメモリーのことをいいます。パソコンのメインメモリは、電源を切ると記憶しているものがクリアーされますので、「揮発性メモリー」を使った装置(部品)です。

「不揮発性メモリ」と「揮発性メモリ」は、記憶保持観点の名称です。「ROM(ロム)」と「RAM(ラム)」は記憶の読み書き観点の名称です。

ROM ロム  Read Only Memory

主に記憶の読み出し専用に使われ、電源を切っても記録されたものが消えないタイプのメモリのことをいいます。

マスクROM

製造時に記憶内容が書き込まれ、後からの書き換えができないものをいいます。

PROM  Progamable ROM

PROMライターといもので後から書き換えができます。書き換えの方式によりBPROM、EPROM、EEPROMの区別があります。

フラッシュメモリ  flash memory

電気的に内容を書き直せるタイプのEEPROMの一種です。フラッシュPROMともいいます。デジタルカメラのメモリカードや携帯電話のメモリなどに広く使われています。最近は容量が大きいものが低価格になったためUSB接続を使ったパソコンの記憶媒体(ディスクの代わり)として利用されています。

また、パソコンのBIOSや周辺機器のファームウエアなどハードを直接制御するプログラムは、アップデートをできるようにフラッシュメモリに格納されていることが多くなりました。従来は、書き換えることのできないROMを使っていました。

RAM ラム  Random Access Memory

記憶の書き込み、読み出しが自由にでき、電気の供給を遮断すると記録されたものは消えるタイプのメモリをいいます。パソコンのメインメモリはRAMタイプのメモリです。

DRAM ディーラム  Dynamic Ram(ダイナミックラム)

コンデンサを利用して記憶を保持するため、自己放電に対するリフレッシュが必要なタイプです。SRAMより低速ですが、集積度が高く、安価なためメインメモリやその増設モジュール、およびVRAMなどに使います。米ラムバスが開発した高速なDRAMをRDRAM(アールディーラム)といいます。

SRAM エスラム  Static Ram(スタティクラム)

フリッププロップ回路という仕組みで記憶を保持するため構造が複雑で容量が小さく高価ですが、DRAMより高速なためレジスタやキャッシュメモリに使われます。また、DRAMのようにリフレッシュを必要としないので消費電力が少ないため、電池で電源を供給するタイプのメモリとしても使われます。

ストレージ  storage

国際規格とJIS規格で論理定義されいる専門用語で「記憶装置」という意味です。主記憶装置と補助記憶装置をさます。具体的にはメモリ、ハードディスク、CDなど記憶装置や記憶媒体と呼ばれるもののほとんどが該当します。

hd02.メモリ