「CPU」
CPU(シーピーユー)は「Central Processing Unit」の略で、日本語では「中央処理装置」または「中央演算処理装置」といいます。処理装置という意味で「プロセッサ」と呼ぶこともあります。「CPU」はコンピューターの中枢装置です。入出力機器を制御してデータを受け取り、それに演算などの処理をして結果を出力する装置です。パソコンのCPUは、その処理機能をLSI(半導体チップ)に集積してあるためマイクロプロセッサユニット ( Micor Porcessor Unit)ともいいます。略して「MPU(エムピーユウ)」と呼びます。
CPUは本体内のマザーボードと呼ばれる基盤に着装されいます。最近のパソコンCPUは、周辺装置(キッシュメモリなど)などと一体化する傾向にあります。
マザーボード motherboard
パソコンの中枢となる装置や部品を配置したプリント基板のことをいいます。「メインボード」とも呼びます。この基盤上に、CPU、メモリ、クロックジェネレータ、ROM、チップセットなどの重要な装置や部品が取り付けられています。
下図タワー型とノート型のマザーボードです。右図はCPU部で、CPUの冷却ファンを取り外したときの状態です。




CPUは冷却装置とセットになっています。CPUの一番の敵は熱です。高温になると「熱暴走」などと呼ばれる異常が起きます。通常使用であれば40℃から70℃ぐらいが適切とされています。
CPUの処理単位はビット
32ビットCPU、64ビットCPUの区別があります。この数字が大きくなると基本的な処理単位か大きくなるため処理も速くなりますが、ビットは処理速度を意味する単位ではありません。現在のWindows機には32ビットCPUもありますが、64ビットが主流になりました。
ビット
コンピュータは電子回路の機器です。電子回路は電気が通る/通らない、または電圧が高い/低いという2通りの判別に適しています。このためコンピュータでは電気信号を1桁の2進数[0]と[1]に置き換えたものを基礎表現としています。「bit」は「binary digit(二進数)」を略したものです。コンピュータ基本処理の最小単位で、[0]と[1]の一つの組み合わせを「1ビット」とします。詳しくは[パソコンの基本知識]-[コンピュータで使う単位の基本]をご覧ください。
動作周波数(クロック周波数)
コンピュータ内部の各装置は処理能力が異なるため同期信号で調整する必要があります。この同期信号の周波数を「動作周波数」または「クロック周波数」といいます。単位にはヘルツ(Hz)を使います。CPUではMHzやGHzを使います。カタログなどの仕様書には「CPUの型名称」と「CPUの動作周波数」が記載されています。これにより、何ビット処理のどのような構造のものがどのような周波数で動作する機種であるかが分かります。
動作周波数が高くなる(数字が大きくなる)と実行される命令数が多くなり処理が早くなります。ただし、動作周波数を倍にしても、処理速度は倍にはなりません。パソコン内部外部の各装置にはそれぞれに動作周波数の上限がありますので、クロック周波数だけを上げても意味はありません。1MHzは1秒間に百万回、1GHzは1秒間に十億回。現在は、技術的にクロック周波数を上げることが限界にきており「コア」を増やすという技術に移行しています。

コア core
「コア」とはCPUの「中枢部(命令処理回路部)」のことをいいます。従来のCPU、PentiumやCeleronまたは同等品は「シングルコア・プロセッサ」です。CPUの処理性能は、動作周波数を上げることで改善されてきましたが、発熱などの問題があり「シングルコア・プロセッサ」のCPUでは限界になりました。そこで処理性能を上げるために複数のコアを利用する技術が開発されました。「デュアルコア(dual core)」はコア部を2つにしたものです。「クアッドコア(quad-core)」はコア部を4つにして性能を向上させたものです。
Celeronは、省電力・低価格が魅力のCPUですが。性能はCore iシリーズに比べるとかなり劣るため、多くのアプリを同時に動かしたり複雑な作業をする用途には向いていません。 インターネット閲覧や文書作成などの簡単な作業、「軽いアプリを1種類しか使わない」など、単一の作業を行うパソコンに適しています。
パソコンの処理性能
パソコンの性能は、パソコンを構成する各装置の性能と装置間のバランスが重要です。CPUの性能、システムバスの幅、キャッシュメモリの容量、クロックジェネレータの周波数、メインメモリの性能や搭載量、使用チップセットの性能、ハードディスクのアクセス速度などがあります。
各装置の仕様性能値は目安にはなりますが、そのパソコの全体的な処理能力を正確に判定することはできません。このため、パソコンの処理性能はベンチマークテストにより判定します。
ベンチマークテスト benchmark test
パソコンの性能評価テストのことをいいます。アプリケーションソフトの標準処理機能をそれぞれのシステムで実行し、このときの各装置や全体としての処理時間などを測定して比較します。ベンチマークテスト専用のプログラムを使っておこないます。
CPUの性能にあまり差のない場合、ベンチマークテストの結果が、性能値の低いCPUを使った機種の方が全体としての処理速度が速かったという報告もあります。パソコン雑誌にはときとぎ注目機種のベンチマークテスト比較が載っていることがあります。最近は「機種名」と「ベンチマーク」には見る機会の少ないデータです。
テスト用のプログラムを実行させてハードウェアやソフトウェアの性能を計測・比較することを「ベンチマークテスト」、ベンチマークテストで得られた具体的な数値を「ベンチマークスコア」といいます。 ベンチマークテストによって、そのハードウェアやソフトウェアの世代間の比較、同世代の別製品との比較を実施できます。
CPUに使われる使用技術名称
CPUの名称に統一規格はありません。同じ意味合いの技術を使っていても、メーカーが異なると呼び方が異なります。各メーカーが独自に付けたものですので、どのような名称がどのような意味をもっているかは、各メーカーのWebサイトで確認できます。名称にアルファベットや数字を付加して、製造時期、改良型、途別、性能などのタイプを表すようになっています。パソコンメーカーにより、カタログの仕様書には付加記号や数字は掲載していないところもあります。逆に詳細に載せているところもあります。以下はCPUに関する技術名称で最近よく見かけるものです。CPUは日々新しい技術が開発され新しい用語がでてきます。
SSE エスエスイー Streaming SIMD Extensions(SIMD拡張命令)
「MMX」または「SSE」は、インテル社CPUのマルチメディア処理用拡張機能の名称です。当初「MMX」と呼ばれたものが改良され現在は「SSE」と呼びます。AMD社製CPUでは同等の拡張機能を「3DNow!」といいます。
現在発売されいるパソコン用CPUでは標準の機能です。CPU仕様書に「SIMD拡張命令」という項目があり「○(対応)」「×(非対応)」が付いている場合があります。ゲームや3D映像利用にはあった方がよい機能ですが、ビジネス用途ではなくても差し支えありません。
2次キャッシュ(L2キャッシュ)
CPUのアクセス効率を上げるために使うキャッシュメモリを指します。このキャッシュメモリの容量と周波数が大きければCPUのアクセス効率がよいことになります。
Hyper-Threading
インテル社が2001年に発表したマイクロプロセッサの高速化技術です。プロセッサ内部装置の空き時間を有効利用して、1つのプロセッサをあたかも2つのプロセッサであるかのように見せかける技術です。
CPUメーカー
現在、Windows機パソコンに使われている主なCPUは、インテル社製またはAMD社です。他にQualcomm「クアルコム」、Apple Inc.「[アップル」、Samsung Electronics「[サムスン電子」、Nvidia Corporation [エヌビディア]などがあります。アップル以外はいずれも携帯端末CPUを中心にしています。また、これらのメーカーはARM Ltd. 「アーム」社からの設計仕様をライセンス使用しています。ARM Ltd.「アーム」社はCPUの製造メーカーではありません。CPUアーキテクチャの設計仕様を行う会社で、ライセンス販売しています。
インテル社製
インテル社のWebサイトには一般個人を対象とした説明ページも用意されています。インテル社サイトはこちら → http://www.intel.co.jp/
Coreシリーズ以前
Windows10のセキュリティ・サポート(2024/10) 打ち切りに伴い中古パソコンが超低価格で出回っています。こうしたものには下記のCPUがつかわれているものもあります。
- Celeron セレロン
- 低価格パソコン向けCPU。Pentium IIIをベースにした1.4GHzとPentium 4をベースにした1.8GHzのものなどがありました。
- Pentium 4 ペンティアムフォー
- かって、インテル社が主力で販売してたCPU。Pentium IIIの後継製品です。
- Pentium M
- ノートパソコン用に使われる省電力タイプのPentium 4です。ノートパソコンで携帯時のバッテリー使用時間が長い機種ではこのタイプのものが使われいました。
- Pentium D ペンティアムディー
- デスクトップ向けPentium 4の後継となる「デュアルコア」構造のCPU。64ビット拡張機能に対応する。「840」(3.2GHz)、「830」(3.0GHz)、「820」(2.8GHz)などの「モデルナンバー」があり性能を表していました。
Coreシリーズ
現在はCore i7が主流になっています。Coreシリーズは用途別にセグメント化されています。Core i7の場合、性能重視の「B/H/G」、バランス重視の「U」、省電力重視の「Y」があります。これらは製品番号をみることで判別ができます。

- Core 2 Duo コアツーデュオ
- 2006年7月に発売されたPentiumシリーズ後継のデュアルコアCPU。64ビット拡張機能に対応。名称に「X」または「E」が付いたものがデスクトップ用、「T」はモバイル用を表す。デスクトップ用はクロック周波数1.86GHz以上のものが3種類、モバイル用もクロック周波数1.66GHz以上のものが3種類があります。
- Atom アトム
- 2008年3月に発表した携帯情報端末や小型ノートパソコン向けCPUのブランド名称です。Core 2シリーズを改良して消費電力を低く抑えています。Centrino Atomというプラットフォームのブランドも用意されています。
- Core i7 コアアイセブン
- 「Core」はCPUブランドの名称とし、性能や機能に応じた型番にはCore i3、Core i5として製品展開しています。Core i7は2008年11月に発表されたクアッドコアCPUです。メリーコントローラやインタフェース、3次キャッシュの改良、また、並列動作のハイパー・スレッディング対応、コア制御機能ターボ・ブースト・テクノロジーなど新しい技術も導入されています。ハイエンド向けの位置づけになります。
- Core i5 コアアイファイブ
- 2009年9月に発表したデスクトップおよびモバイル向けのマイクロプロセッサです。Core i7とともに同社のCore 2シリーズの後継製品でメインストリーム向けの位置づけになります。
- Core i3 コアアイスリー
- 2010年1月に発表したデスクトップおよびモバイル向けのマイクロプロセッサです。Core i7、Core i5とともに同社のCore 2シリーズの後継製品でローエンド向けの廉価版という位置づけになります。
- Centrino セントリーノ
- 米インテルが2003年3月に発表したノートパソコン向けプラットフォーム(基礎となる装置構成)の名称です。。正式には「Centrinoモバイル・テクノロジ」といいます。CPUの名称ではありません。CPUにPentium M、インテル製のチップセット、インテル製の無線LANモジュールの3つを搭載したパソコンにCentrinoブランドが使われました。
- 最新のCoreシリーズは「Core i9」です。
Project Athena(プロジェクト・アテナ)
インテル社が提唱している新しいノートパソコンの設計思想。「AI機能の強化」「スリーブからの復帰1秒以内」「電源接続とバッテリーで同等の性能」「ビデオ再生16時間以上、Webブラウジング9時間以上」など。
AMD社製
AMD社はここしばらく低迷が続いていましたが、最新RYZEN(ライゼン)シリーズを切っ掛け巻き返しをはかっています。
AMD社サイトこちら → http://www.amd.com/jp-ja/
- Athlon XP;アスロンエックスピー
- 米AMD社の主力CPUで、インテルのPentium 4に相当します。当初はAthlonという名称でした。Athlon 4はノートで、Athlon MPはサーバー用です。
- Duron;デュロン
- 低価格パソコン向けCPUで、インテルのCeleronに相当製品です。
- Sempron センプロン
- 低価格版パソコン向けCPU「Duron」シリーズの後継。性能より価格が重視し、64ビット機能非対応。デスクトップの「AMD Sempron」シリーズと、ノートパソコンの「Mobile AMD Sempron」シリーズがあります。性能表記は「Sempron 3100+」(1.8GHz)のようなモデルナンバーで表しています。
- Athlon 64,Athlon 64 X2 アスロンロクヨン アスロンロクヨンエックスツー
- 2005年に発売されたパソコンやワークステーションの「デュアルコア」構造64ビットMPU。「Athlon 64 X2」は「Athlon 64」の後継になり基本的な性能は同じ。性能表記は下記の「モデルナンバー」で表される。
「4800+」(2.4GHzで2次キャッシュ2MB)
「4600+」(2.4GHzで2次キャッシュ1MB)
「4400+」(2.2GHzで2次キャッシュ2MB)
「4200+」(2.2GHzで2次キャッシュ1MB) - Phenom(フェノム)シリーズ
- AMD社が2007年11月にAthlonシリーズの後継製品として発表。プロセッサコアを4つ内蔵するメインストリーム向けの位置付けになる製品です。クアッドコアのPhenom 9000シリーズ(Phenom X4 9000シリーズに改称)と、1つを無効化したトリプルコアプロセッサのPhenom 8000シリーズ(Phenom X3 8000シリーズに改称)の2系列があります。
- Phenom II
- 2009年1月にPhenomシリーズの後継製品として発表された高性能パソコン向けマイクロプロセッサのシリーズ名称です。クアッドコアのPhenom II X4シリーズと、1つのコアを無効化したトリプルコアプロセッサのPhenom II X3の2系列があります。
- RYZEN(ライゼン)シリーズ
- AMD社のデスクトップ向け、ノート向けのCPUの新しいシリーズです。Zenアーキテクチャーを採用するAMD64マイクロプロセッサのシリーズに用いられるブランド名です。高性能・省電力を目標にしたもので浮動小数点演算能力は従来の2倍といわれます。