ロゴ

pc_w1. パソコン用語について

  • 用語の表記と定義について
  • カタカナ用語の表記について
  • カタカナ用語の意味について
  • 英字の略語と略称
  • 広義と狭義など意味に幅のある用語
  • 対象は同じでも使われている用語が異なる場合

パソコンの説明書が分かりにくい原因のひとつに「用語」の問題があります。文章は読めても意味が分からないという問題です。読めない漢字が出てくることはまれですが、意味不明のカタカナ用語や英字の略語が数多く出てきます。字面は読めるので分かったような気になり、字面から解釈をしますが、実は勝手な解釈になっています。

これらのカタカナ用語や英字略語は機器名称、規格名称、画面上の場所(位置)名称、ハードやソフトの機能名称、コンピュータの動作や状態をあらわす専門用語またはそれに準じる用語です。まだ、処理動作を表現する俗語もよく使われます。一般ユーザーの方が字面から勝手な解釈をしても意味は通りません。

また、知識のある人とない人、作る側と使う側でパソコンというものの捉え方(観点)が異なるため、用語の使い方や言い回しが異なります。こうしたことから説明文の解釈に観点のズレや誤解を生じるという問題もあります。

用語の表記と定義について

コンピュータ関連の文書は「JIS情報処理用語」の表記と定義を基準に使います。また、関連省庁、メーカー、業界団体が独自に定義しているものを使うこともあります。これらのものの「用語表記」と「意味定義」は日常国語観点で使われている表記や意味とは異なることがあります。

通常、一般の方を対象とする文書は、一般用パソコン用語事典やテレビ・新聞の表記や意味を基準にしますが、必ずしもそのようになっていない場合もあります。必要な場合は学術・技術上の専門用語としての表記や意味を調べてください。パソコンの資格試験を受けるときは、その試験ではどのような表記と定義を基準にしているか確認してください。

JIS ジス  Japanese industrial standards

日本工業規格の略称です。コンピュータ用語に関するものは「情報処理用語」として表記と意味が定義されています。

カタカナ用語の表記について

一般の方が使うパソコン用語事典、マニュアル、書籍などは国語観点の表記を基準としますが、JIS情報処理用語の表記を使っているものもあります。JIS情報処理用語のカタカナ表記には国語観点の表記とは異なるものが多数あります。

  • 専門・技術的な用語では、長音符号「ー」を付けない傾向にあります。国語観点の基準となる表記は「コンピューター」ですが、JIS情報処理用語の表記は「コンピュータ」です。同様のものに「プリンタ、モニタ、 メモリ、 スピーカ」などがあります。
  • 国語観点の基準となる表記では「ソフトウエア」ですが、JIS情報処理用語の表記では「ソフトウェア」となります。
  • 国語観点の基準となる表記では「インターフェース」ですが、JIS情報処理用語の表記では「インターフェイス」または「インタフェース」です。

現在、一般ユーザーが使用するパソコンのマニュアルなどは「一般国語表記」を基準とするようになりました。

カタカナ用語の意味について

コンピュータは欧米文化の中で生まれ発展したものです。従って、日本語での説明には英語のカタカナ読み表記が多数でてくることになります。説明文にでてくるカタカナ用語は英語の専門用語あるいはそれに準じる用語です。

<Sample>
デフォルト default
通常の英語の意味は「破棄、怠慢、不足、欠如」などです。財務上の専門用語として「債務不履行」の意味で使います。パソコンでは、「標準値、初期値、規定値」の意味です。
ドライブ drive
車では「運転する、遠乗りする」、その他ゴルフや野球など球技では玉がカーブするときや強く打つときに使われ用語ですが、英語の「drive」には「機械を運転する、装置を操る、駆動する」という意味があります。パソコンでは「記憶駆動装置」という意味で、プログラムやデータの保存先(保存場所)の装置を指します。

英字の略語と略称

英字の略語と略称は必ずパソコン用語事典やインターネットで正式な名称や内容を確認してください。略語と略称の表記では意味の分からないものも、正式な綴りが分かると意味が分かるものもあります。また、正式名称は異なりますが、略の綴り(表記)が同じになるものがありますので注意してください。

略語には、「OS(オーエス)」や「CPU(シーピーユー)」のように、略語を一文字ずつ英字発音をするものと、「LAN(ラン)」や「SOHO(ソーホー)」のように略語に固有の発音があるものがあります。固有の発音をするものの中には、普段カタカナ表記されることがないために、正しい読みが普及せず、一文字ずつ英字発音するものが一般的になっているものもあります。

<Sample>
OS オーエス
「operating system 基本ソフトウエア」の略です。
CPU シーピーユー
「central processing unit 中央演算処理装置」の略です。
IEEE アイトリプルイー
「Institute of electrical and electronics engineers 米国電気電子技術者協会」の略称です。
LAN ラン
「local area network 構内情報通信網」の略です。
SOHO ソーホー
「small office home office」の略です。ネットワークを利用した小規模事業者または在宅勤務という意味です。

また、専門用語の略称ではなく、商品名などでメーカーが使う略称が慣習化して日常使われるようになったものもあります。パソコン用語事典により載せていない場合もあります。

<Sample>
IE アイイー
Windows付属マイクロソフト社のWebブラウザ、Internet Explorer の略です。
OE オーイー
Windows付属マイクロソフト社のeメールソフトOutlook Expressの略です。

広義と狭義など意味に幅のある用語

パソコン用語には広義と狭義の意味がある用語が多数あります。状況により広義にとるか、狭義にとるかで文章の意味が異なることもあります。どの意味で使われているかは、定義(説明)してあることもありますが、使われている場所や文章の前後関係から判断しなければならないこともあります。

<Sample>
メディア media
本来の意味は「情報伝達の媒体、手段、方法」を意味する用語で、「ニューメディア、マスメディア」などと使います。コンピュータに関してもこの意味で使いますが、狭義ではFD、CD、DVDなどの記憶媒体のことをいいます。状況により、「ディスク」の変わりに使われていることもあります。
メモリ memory
プログラムやデータなどを一時記憶する半導体装置のことをいいます。メモリにはメインメモリ用の増設モジュール、ビデオラム(VRAM)、キャッシュメモリなどがあります。一般的にはメインメモリの増設モジュールをさして使われますが、パソコンに使われているメモリにはいろいろな用途と種類のメモリがあります。(「モジュール」は独立して取り外しのできる部品のことをいいます)

対象は同じでも使われている用語が異なる場合

同じ対象でも、どのような観点で呼んでいるかにより使われる用語が異なることがあります。同じものでも観点が異なると呼び名が異なります。また、用語が異なっていても同じ意味と解釈してよい場合と、意味の違いを厳密に解釈しなければならない場合もあります。

<Sample>
アカウント、ユーザーアカウント、ユーザーID
「アカウント」や「ID」はクレジットカードができたころから一般に使われるようになった用語です。ユーザー登録やプロバイダに接続するときに使います。ユーザー各自の識別名称を意味します。現在、メーカーやプロパイダにより使用する用語が統一されていません。「アカウント」と「ユーザーID」が異なるものを指して使い分けられている場合もあります。
「アカウント」は利用料金の課金番号(account number)に由来します。「アカウント」という英語の本来の意味は「計算」「請求」という意味ですが、パソコンでは、接続対象や使用者を象徴的に表現する用語としていろいろなケースに使われます。「ネットワーク使用者」という意味で使われることもあります。
モニター Monitor
情報を監視する、確認する、収集する意味での表示装置
ディスプレイ Dispaly
展示する、見せる意味での表示装置
CRT(シーアールティー) Cathod Ray Tube
陰極線管(Cathod Ray Tube)という原理装置の略称
LCD(エルシーディー) liquid crystal display
液晶パネル(liquid crystal)を利用した表示装置の略称
ブラウン管
テレビに使う陰極線管(CRT)表示装置の名称
「CRT」と「LCD」はディスプレイの種類を区別するときに使いますが、単に「ディスプレイ、モニタ」という「表示装置」の意味でも使われます。

異なる意味で一般に普及した専門用語

メーカーが製品や機能の名称に、専門用語や技術用語を象徴的に、または誇張して付けることがあります。これらの用語が、宣伝広告により一般に普及し、日常使われるようになります。これらの用語は、自社の商品などを特長づけるために使われていることが多く、必ずしも本来の意味で的確に使われているとは限りません。

一般の方は、商品広告の内容からこれらの用語を解釈しているため、マニュアルなどの解説書で本来の意味で使われていると、分かっているつもりでも意味が通らなくなることがあります。

<Sample>
ブロードバンド broadband
一般には「高速通信」というような意味に解釈されいますが、「broad」とは「幅が広い」という意味で、「band」は「周波数帯域」という意味です。周波数帯域幅の広い通信方式やその回線を使うサービスをさします。周波数帯域幅が広いと一度に遅れる量が増えますので結果速度が速いことになります。ブロードバンドの速度に明確な定義はありません。数百Kbps以上とするものもあれば、1Mbps以上とするものもあります。

機器や規格の名称に注意

コンピュータ業界は特許によるシェアー競争の激しいところです。名称の異なる類似規格や拡張規格などが乱立する傾向にあります。また、このような状況を解決するために標準化する団体もあります。このため、名称が似ていても細部の規格が異なるため使えない場合もあれば、逆に名称が違っていても互換性があり使えたりします。パソコン関連のものは名称だけでなく、その内容をよく確認してください。

<Sample>
FireWire ファイアワイヤ
米国アップルコンピュータが商標を持つシリアルインタ−フェイスの規格名称です。
IEEE1394 アイトリプルイー1394
IEEEが「FireWire」の規格を標準化した名称です。
i.LINK アイリンク
ソニー社がIEEE1394と同等の規格に付けた名称で、同社の商標にもなっています。

動作・状態などの表現に使われる用語

コンピュータの動作や状態を表現する用語には次のようなものがあります。「書き込む、書き出す、読み込む、取り出す、保存する、登録する」など。「ロード(load)」「リード(read)」「セーブ(save)」とカタカナ表記のこともあります。

これらの用語は、コンピュータ上の動作や状態を比喩的に表現した用語です。日常の意味で解釈すると、コンピュータ上の実際の動作や状態にあわない場合もあります。

<Sample>
「保存する」
「保存する」は、記憶媒体に記録することを意味します。「データを保存する」など、主にデータ関連で使われています。
「登録する」
「登録する」は「スタートメニューにプログラムを登録する」「動作環境の設定を登録する」と使われています。「登録する」には「保存する」「設定する」「使える状態にする」という意味合いが含まれます。
 
「ロードする」「リードする」「読み込む」「書き込む」
対象がプログラムやメモリの場合には、「リード」と「ロード」が使われることがあります。「メモリー上にロード(リード)する」。プログラムやデータを記憶装置からメモリーへ転送することを意味します。日本語では「読み込む、書き込む、書き出す」などの表現が使われています。

隠語や俗語

下記の用語は隠語や俗語です。誤解やミス操作の原因になるためマニュアルなど解説書では禁止用語で使いませんが、広告などによく使われるため、一般の方はこれらの用語の方を好んで使う傾向にあります。

「走る、動く、立ち上がる」は「実行する、起動する、動作する」の意味で使われます。

「流し込む」は「転送する、保存する、読み込む」の意味で使われます。

「切る」は「領域を分割する」の意味で使われます。

「焼く」はCDやDVDに「記録する、保存する」の意味で使われます。

「立ち上げる」は「起動する、開始する」の意味で使われます。

pc_w1.パソコン用語について