仕様書でパソコンの性能を判断するにはパソコン各装置の構造や規格の知識が必要になります。装置により数値が大きいと性能がよい場合と、数値が小さいとよい場合があります。単に数字の大小では判断ができない場合もあります。また、仕様書の掲載数値は論理値で現実にはそのような値にはならないこともあります。
パソコンの性能は、パソコンを構成する各装置の性能と装置間のバランスが重要です。CPUの性能、システムバスの幅、キャッシュメモリの容量、クロックジェネレータの周波数、メインメモリの性能や搭載量、使用チップセットの性能、ハードディスクのアクセス速度などがあります。
各装置の仕様性能値は目安にはなりますが、そのパソコの全体的な処理能力を正確に判定することはできません。このため、パソコンの処理性能はベンチマークテストにより判定します。「ベンチマークテスト」については「ハードウェア」の「CPU」のページに解説があります。
比較のポイント箇所
パソコンの性能は以下のようなものを比較します。個々の装置(部品)の性能に歴然とした差がない場合は、パソコンとしての全体的な処理能力の方が重要になります。
- CPUの性能と使用チップセット
- メインメモリの性能や搭載量
- 内蔵ハードディスクの容量と動作能力
- 装備インターフェイスの種類と数
- 光ディスクドライブの性能
- 空きスロットの数(デスクトップ型,タワー型)
- 内蔵バッテリーでの駆動時間(ノートパソコン)
- ディスプレイ画面の大きさと解像度
- 筐体の大きさ、重量
CPUの比較ポイント
CPUの性能を比較するポイントは「タイプ」と「動作周波数」と「キッシュメモリ」です。動作周波数は高い(数値が大きい)ほど早くなりますが、タイプが異なるCPUの動作動作周波数のみを比較しても意味はありません。同じ動作周波数でも種類(タイプ)が異なると性能も異なります。また、メーカーが異なり動作周波数が違っていても、実質的な処理性能は同等ということもあります。
CPUには、ディスクトップ用、ノート用、またはハイエンド機種用、低価格機種用などのタイプ(種類)があります。どのようなタイプのCPUであるか仕様書に掲載されていない場合は、CPUメーカーのWebサイトで調べるしかありません。最近のCPUメーカーWebサイトでは一般ユーザー用の解説ページを用意しています。
一般の方が判断できる範囲
型番が同じCPUまたは同等の他社製品であれば動作周波数が高い(数値が大きい)程速いということになります。また、キッシュメモリの容量も大きいほどよいと判断できます。ただし、性能の異なるタイプの場合は動作周波数だけでは判断できません。
また、動作周波数の差が小さい場合は、動作周波数の高い(上の)機種が処理能力が高いとはいいきれません。キャッシュメモリ、メインメモリの容量、ハードディスク動作性能などパソコン全体としての処理性能により変わります。
チップセット(chipset)
使用するチップセット(chipset)により、利用できるCPUのタイプ、対応メモリーの種類、インタフェースの種類などが決まります。パソコンの性能に大きく影響する部品ですので、最近のカタログ仕様書には型番が掲載されいますが、一般の方がチップセットの型番から性能を推測比較することはできません。また、チップセットは交換したりすることはできません。
一般の方が判断できる範囲
表示制御機能がチップセットで提供されている場合は、表示能力(速度・解像度など)に影響します。このような場合は表示用のグラフィクスメモリを本体メインメモリからとっていますので、メインメモリを増設することをおすすめします。
メインメモリ
メインメモリの搭載容量と増設可能容量は大きいにこしたことはありません。標準搭載量は大きいほどよく、増設量も大きいほどよいことになります。弊社では実用レベル値として、Windows XP機は最低512MB以上、Windows Vista機では最低1GB以上をおすすめしていましたが、これの値はすべて破棄します。現在は、Windows XP SP3では最低1GB必要になります。Windows Vista,7では4GB必要になります。
上記値は当社が設定した実用レベル値です。Windowsの動作要件とは異なります。
一般の方の注意点
Windows Vista,7の32版で使用している機種では4GB以上のメモリを搭載しても意味がありません。32版のWindowsでは4GB以上のメモリは管理できません。
内蔵ハードディスク
ハードディスクも容量は大きいにこしたことはありませんが、他にハードディスクの動作能力値も検討する必要があります。カタログにより動作回転数が載っている場合があります。この場合は回転の数字が大きい方が早いと判断できます。ただし、ハードディスクの性能も厳密には動作回転数だけでは判断できません。転送速度、読み込み・書き込み速度などを総合的に判断します。
標準装備インターフェイス
一般の方にとって最も重要な比較ポイントになります。標準装備インターフェイスとは外部増設機器の接続端子の種類と数です。現在、外部増設機器のインターフェイス規格はUSBに集約されていますので規格で困ることはまれですが数に注意してください。最低でも全面に2つ、背面2つ必要です。マウスやキーボードがUSB接続であれば背面に4つは必要になります。
どのような装備インターフェイスがあるかは、一般使用者の方にとってパソコンのどのような機能が利用できるかの問題になります。テレビチューナー付きグラフィックオプションボードを装備していればアンテナの端子やVIDEOの出入力端子があります。ゲーム機能のオプションボードを装備いればジョイスティックの端子があります。
⇒ 『ハードウエア基本知識事典』−「インターフェイスの種類」を参照
一般の方の注意点
家電製品と繋げる可能性がある場合はIEEE1394やHDMI端子の確認が必要です。また、2010年以降の機種では新し規格が採用されています。ノートパソコンのPCカードはExpressCard(エクスプレスカード)に変更になりました。互換性はありませんので、新しいパソコンではPCカードは使えません。
光学(CD/DVD)ドライブ
現在は、スーバーマルチドライブ( super multi-drive)が標準になりましたが、低価格な機種にDVDの読み込みとCD/RWの読み書きしかできないコンボドライブを搭載したものがありますので注意してください。また、光学ドライブには読み込み・書き込み速度の規格があります。カタログの仕様書で読み込み・書き込みできるメディア(媒体)のタイプと読込、読み書き速度を確認してください。
⇒ 『ハードウエア基本知識事典』−「CD」と「DVD」を参照
ノートパソコンの比較ポイント
ノートパソコンでは、大きさ、重量、バッテリーでの駆動時間、ディスプレイ画面の大きさなどが比較のポイントになります。ホームユースの据え置きで使う場合は画面の大きさが優先します。仕事に使う場合や外での使用が前提ならばバッテリーの駆動時間が優先します。
現在は小型のサブノート、ミニノートと呼ばれるものでも5、6時間はバッテリーで動作するようになりましたが、カタログ仕様書に載っているバッテリー駆動時間はメーカが想定した使用方法での最長時間です。使用者の使い方により変わります。大まかな目安ですがカタログ仕様書の時間から10%程度差し引いてお考えください。
使用をはじめてから問題となるのが光学ドライブ(CD/DVD)装備の位置やExpressCard(エクスプレスカード)などのカードスロットの位置です。作業環境によりメディアの出し入れやオプション装置の着装に不都合を生じすることがあります。また、作業スペースにはパソコン本体の大きさにこれらの取り扱いスペースを含めた設置スペースが必要になります。USBインターフェースの数と位置もあわせ確認する必要があります。