一般ユーザーがパソコンを使うようになってから半世紀以上が経ちました。かってのように専門知識を必要とする特殊な機器をという時代は終わりました。デスクトップのタワー型のようなタイプを一般の方が使うことは無くなり、パコソコンではノート型、情報端末機器ではスマホ型が主流になりました。
今後のコンピュータ利用形態は大きくが変わるのではないかと予測されます。2024年ごろからは生成AIによるアプリケーション利用やプログラミング開発の実証試験も行われており、コンピュータの利用方法だけでなく、コンピュータのアーキテクチャも大きく変わると思われます。
1970年代
1970年代初頭、電卓用に開発された4ビットCPUが市場に出回り、これをエンジニアやコンピュータを趣味とする方がホビー用として使いました。70年代後半になると、8ビットCPUを搭載したマイクロコンピュータ(マイコン)という形態ができます。8ビットCPUを搭載していたので「バイトマシン」ともいいます。8ビットは1バイトです。半角の英数記号とカタカナしか使えないため、簡単なプログラミングをしたり、単純なゲームを楽しむ程度のものでした。
現在は「マイコン」というと、電気製品や工業製品の中に制御用として組み込まれている超小型のコンピュータをさします。
1980年代
1980年代初頭に16ビットCPUを搭載したパソコンが発売されます。マイコンとは別の分野が形成され、「パソコン」という名称が一般に広がります。処理性能がよくなるとともに、漢字とひらがなを取り扱えるようになり、事務処理への利用が注目を集めます。
現在のものと比べると処理能力や操作性は劣りますが、ワープロソフトや集計ソフトなどのアプリケーションソフトも発売されます。この頃に使われた基本ソフト(OS)にマイクロソフト社の「MS−DOS」があります。ジャストシステム社のワープロソフト「一太郎」もこの頃に誕生したものです。
一般でもパソコンを利用する方が出てきましたが、ハードウエアの取り扱いなどいろいろな問題があり、一般の方は主にワープロ専用機を使いました。80MBのハードディスクでも大容量といわれた時代です。
パソコンは知識のある方や趣味趣向者を中心に普及したため、その特殊性が重要な意味をもっていました。そのためアプリケーションソフトも多く発売されるようになりましたが、マニュアルが分かりにくい、各アプリケーションソフトで操作性が異なるなどの問題が起きました。
1990年代
1990年代になると、パソコンのCPUは32ビットが主流になります。基本ソフト(OS)もグラフィカル・ユーザー・インターフェイスが採用されマウスでアイコンをクリックするいう比較的易しい操作方法で使えるようになります。
企業では、オフィスコンピュータのダウンサイジングがはじまりネットワーク化が進み、パソコンがビジネスの世界で一気に普及します。また、インターネットのホームページやEメールの利用が注目を集め、オフィスだけでなく一般家庭にもに広がりはじめます
1993年にWindows 3.1、1995年にWindows 95、1998年にWindows 98が発売されます。
2000年代
2000年にWindows Me、2001年にはWindows XPが発売されます。ビジネスにパソコンを使うのは普通になり、クライアント・サーバー・システムを中心にした高度なネットワーク化が進みます。ホームユースでも、インターネットを使用することが前提になり、ADSLや光回線などの高速通信回線が普及します。
個人を対象とした商業利用も盛んにおこなわれるようになりましたが、同時に個人情報漏洩やウイルス感染、迷惑メールなどパソコンを使う場合のモラルやセキュリティの問題が発生しています。
ホームユースのものはテレビチューナーを標準装備する機種が多くなり、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、DVDなどを使い、音楽・画像・映像を取り込み編集・加工するマルチメディア機器へと変貌します。
2007年1月にはWindowsの新しいバージョンVistaが発売されました。ディスプレイは液晶が標準になりCRTディスプレイは消滅します。市販機種はテレパソ機が主流になりました。
2010年以降
Windows Vista発売に伴い高性能・高機能のパソコンが発売されましたが、一般市場ではインターネット利用を目的として低価格なモバイルノートパソコンやネットブックパソコンが普及します。これらのパソコンにはWindows XPが使われていました。
企業ユーザーがWindows Vistaを導入しないなどの問題もあり、マイクロソフト社は2010年発売予定していたWindows 7を2009年秋に発売しました。このため、2010年以降しばらくの間は一般ユーザーが利用するパソコンにWindows XP、Windows Vista、Window 7が混在することになりました。
一般ユーザーのパソコン利用目的は「データの作成・編集」から「インターネット上のコンテンツ利用」に変わりました。今後、デジタルテレビや高性能の携帯端末機器(スマホ)の普及で状況はさらに変化すると予測されます。「パソコン」は初期のものとは利用方法、利用目的、処理能力も大きく変わろうとしています。ハードウエア専門家の中には「パソコンの時代」は終わったという方もいます。