最近は「パソコン」が「コンピュータ」の代名詞のように使われますが、「コンピュータ」はいろいろな種類があり、その中の一つが「パソコン」です。パソコンは性能が格段に向上し、広範囲に使われるようになり、「コンピュータ」を代表する機器になりました。

「コンピュータ」について基礎的な事項をまとめてあります。

マイクロエレクトロニクス(Micro Electronics)技術

コンピュータの進化に欠かせないのがMicro Electronics技術です。コンピュータの高速、小型、大容量、低価格はMicro Electronics技術の進歩により可能となります。超ミクロのプリント基盤の世界で、熱との戦いといわれます。かっては、歩留まりが悪いため高額でしたが、製造技術の進歩により量産低価格が可能になりました。現在は、今まで複数の部品であったものがひとつのチップに集約され、より高度な集積がおこなわれています。

IC アイシー (Integrated Circuit インテグレーテッド・サーキット)

「IC」とは「集積回路」のことです。超薄型の基盤回路装置(部品)で、半導体を加工して、トランジスタ、抵抗、ダイオードなどと、それらを結ぶ配線を高度に集積した超小型構造の電子回路です。

LSI エルエスアイ(Large Scale Integration)

大規模集積回路の略です。素子1000個以上に高集積したものをいいます。素子が10万個以上に高集積したものは VLSI ヴイエルエスアイ(Very Large Scale Integration)超大規模集積回路といいました。

現在はこうした区別はあまり使われず、単にLSIとかICと呼びます。集積度の意味から離れ、「先端的な半導体を扱っている」という意味で「VLSI」という用語が使われることがあります。

チップ  Tip

「小片」の意味で、ICやVLSIを象徴的に指すときの呼び名です。また、これらで構成する小さな部品をさすこともあります。パソコンの解説書や仕様書には「チップセット」という用語がよくでてきます。

デジタルとアナログ

アナログ

連続的に変化する物理的な量や状態をいいます。電話の音声通話や従来型のテレビは、音波や電波のアナログ信号でおこなわれています。「アナログ信号」は連続的な量ですので「対象状態」を波形であらわします。アナログ信号をコンピュータで処理するためには、デジタル信号に変換する必要があります。デジタルカメラ、スキャナー、通信機器のモデムなどにはこの役目があります。

デジタル化

主に2進数を使い情報を数値化表現することをいいます。専門的には2進数の数値化のみを意味するものではなく、「離散的数値表現」などといいます。パソコンの処理は2進数コードの信号でおこなわれています。「ディスクに保存する」とは、データの2進数コードの集まりを磁気や光を利用して媒体に記録することを意味します。

「アナログ信号」では、転送やコピーするときの条件により、雑音などが入り、状態に不要な変化(劣化)が生じてしまうことがあります。「デジタル信号」は、0と1など数字の組合せですので、この組合せが変わらない限り、状態を保持できるという特長があります。

デジタル信号の劣化

「デジタル信号」は「アナログ信号」」に比べ劣化しにくいという特長があります。まれに電圧の変化などにより劣化することもありますが、デジタル信号には劣化を補正したり修正する技術を容易に使うことができます。

コンピュータの利用形態

コンピュータはスタンドアローン方式から始まります。その後、有線の通信回線を利用した方式になり、現在は無線通信の時代になりました。

スタンドアローン方式

ネットワークに接続しない単独で使う方式をいいます。パソコンの個人利用は1980年代の半ば頃まで、この使い方が主流でした。当初、パソコンの記憶媒体はフロッピーディスクが流でした。その後プログラムや大きなデータはハードディスクやCDを使うようになりました。

集中処理方式

一台のまたは数台から構成される処理センターにデータを集め一括して処理する方式。パソコンはこうしたシステムの端末入力装置として利用されました。かって、企業では大型汎用機(メインフレーム)を中心とした「集中処理方式」でした。

分散処理方式

ネットワークを使い複数のサーバー機やクライアント機で処理を分散しておこなう方式。現在は企業、個人利用を問わず広義においてこの方式になります。

コンピュータの基礎用語

以下はパソコンのマニュアルもよく出てくるコンピュータの基礎用語です。

アーキテクチャー  Architecture

語源は「建築様式」のことで、コンピューターでは基本的な設計思想やその物理的な構造をいいます。データ処理を内蔵プログラムの指示に従って、逐次的(チクジ)におこなう方式をノイマン型といいます。現在のコンピュータはこの設計思想(アーキテクチャー)を基にしています。

スペック specification(spec)

「仕様書」の意味で、構造という意味でも使われます。「パソコンのスペック」とは、パソコンの本体の仕様、規格を意味します。

ジョブ Job とタスク Task

共に、英語では「仕事」という意味があります。コンピューターが処理するひとまりまりの単位(仕事)を指します。「タスク」はコンピュータ内部での作業単位を指し、「ジョブ」はユーザーがコンピュータに処理をさせるときの作業単位を指します。ここでいう「仕事」とはコンピュータにとっての仕事(処理動作)を意味します。日常、人がおこなう仕事(作業)の意味ではありません。

マルチタスクとシングルタスク

CPUが同時に複数のタスクを処理することをマルチタスク、単一のものをシングルタスクといいます。マルチタスク処理では複数のソフト(プログラム)を同時に動作させることができますが、シングルタスクでは、一度にひとつしかできません。Windows XP、Vista、7、8、10をはじめ現在のOS(基本ソフト)はマルチタス方式が標準です。

デバイス  device

「装置」という意味で、論理的観点で使われる場合と、具体的な対象物の総称として使われる場合があります。どちらの意味で使われているかにより解釈が異なる場合があります。

ストレージ  storage

「記憶装置」という意味で、メモリー、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク(MO)など記憶装置または記憶媒体と呼んでいるものが該当します。狭義の解釈では「外部記憶装置」で、メモリなど半導体素子とは区分けします。

ノード  node

論理的なネットワーク専門用語で、「ネットワーク上の接点」を意味する用語です。ネットワークに接続されいるコンピュータ、通信制御装置、端末装置などをさします。パソコン利用ではLANに接続されている他のパソコン、ハブ、プリンター、ルーターなどがノードになります。IEEE1934の接続規格では接続する周辺機器を「ノード」と呼びます。接続規格のUSBでは、接続する周辺機器を「デバイス」と呼びます。

pc01.コンピュータの基礎知識